「夫婦という単位をターゲットとして設定」という新視点
これまで見てきた調査結果から分かるように、アセアンの男女平等意識は国ごとで様々です。しかし、家事や育児の役割分担は、夫婦で平等にシェアするタイプがマジョリティとなっており、また平等にシェアするタイプほど満足度が高いことが分かってきました。
次に、これらの結果をどうマーケティングに、新しい視点として取り入れることができるのか考えてみます。
1 「シェアリングタイプ」を優先的に獲得する相手として設定してみる
シェアリングタイプは、アセアン家庭の4分の3を占めるタイプです。アセアンにおいて30代、40代の家族世帯をターゲットとする場合、さらにシェアリングタイプに戦略的にアプローチするところまで絞り込んだターゲット設定を行うことで、ターゲット像がより明確になり、従来と違ったマーケティング方法が有効になる可能性があります。
2 購入の意思決定が「夫婦一緒」に行われていることに着目
従来のマーケティングでは、クルマは男性、トイレタリーや食品は女性といったように、家庭内での意思決定者がいずれか一方であると考えることが多かったかもしれません。しかしシェアリングタイプの家庭では、クルマからトイレタリー、食品にいたるまで、幅広いジャンルの商品が夫婦で一緒に検討されているのです。
3 「夫婦」という単位に対するマーケティング・コミュニケーションを検討する
夫婦一緒の購入意思決定が行われると、従来のように男性向けコミュニケーション、女性向けコミュニケーションといったように、男女「いずれか」をターゲットとしてコミュニケーションするのではなく、男女「両方」を合わせてひとつのターゲットとする視点が有効になると考えられます。
例えば、クルマの広告も、夫婦が一緒に仲良く購入検討したり、夫婦いずれもが交代で運転を楽しんだり、といった場面を描くことが考えられます。
今、自社が最も買ってもらいたい「戦略顧客」は、どのような夫婦関係の家族なのか。その夫婦はどのような意思決定プロセスを行うのか。これからのアセアン・マーケティングには、こうした視点が欠かせないと思います。
調査結果の詳細な内容についてはこちら
博報堂生活総研アセアン
アセアン各国の生活者研究に特化したシンクタンクとして2014年設立。
アセアン生活者の新しいライフスタイルの研究を行い、アセアンで活動する企業のマーケティング活動に貢献することを目的としている。
URL:http://hillasean.com/
【調査概要】
定量調査
◆博報堂生活総研アセアン男女平等意識調査
ネット調査
一般生活者 男女20~49歳(SECのA~C層を対象)
シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム
総計5000サンプル(各国1000サンプル)
各国の人口構成に準じたサンプル割り付け
調査実施 : 2017年8月