デジタルテクノロジーの進化やスマートデバイスの普及を背景に、情報探索、コミュニケーション、商品購入といった、生活者の行動の場がデジタル空間へと広がっている。
こうした中、生活者から選ばれ続けるために、企業規模や業種業態を問わず、企業にとってデジタルマーケティングの推進が重要ミッションのひとつとなっている。
アイ・エム・ジェイと宣伝会議は2017年9月、デジタルマーケティングに対する企業の意識調査を共同で実施した。対象者は、国内大手企業のマーケティング担当者・責任者112人。
あらゆる企業がデジタルマーケティングの推進の必要性を強く認識している昨今、本調査でも全体の96%が「デジタルマーケティングの推進が必要」と回答した。生活者中心のマーケティングを実現するためにデジタル活用は不可欠との考えで一致しており、具体的に取り組むべきこととしては「生活者の行動データの収集と分析」(72.3%)、「生活者との接点をつなげたカスタマージャーニー」(71.4%)、「生活者の嗜好・行動を細かくとらえデータ化する」(65.2%)などを挙げる声が多かった。
目標未達の企業が8割超デジタル推進は道半ば
デジタルマーケティングの必要性は理解しており、試行錯誤を続けているものの、うまく推進・強化できていないと感じている企業が少なくない。
「他社に後れを取っている」と回答した人が52.7%と過半数を占め、「他社に大きく先行している」と回答した人はわずか3.6%だった。また、目標に対する進捗状況を聞くと、「目標・イメージまで達していない」「目標・イメージと大きく乖離している」と回答した人が合わせて8割を超えた。
思うように進捗していない原因としては、「実行すべき組織・人材・スキルが整っていない」を挙げた人が83.9%、「デジタル施策強化の戦略や進め方が不明瞭」を挙げた人が63.4%と多く、「予算が不足している」の42.9%を大きく上回った。
「実行すべき組織・人材・スキルが整っていない」という課題については、マネージャー・実務担当の82%が認識しており、役員・部門長に至っては100%が認識していることも明らかに。
仕事の進め方に関する具体的な課題としては、「マス広告とデジタルを統合したマーケティングプロセスがない」(63.4%)、「マス広告+デジタルのマーケティング業務プロセスが可視化されていない」(53.6%)、「マス広告とデジタルを融合したKGI・KPIなどの成果指標がない」(53.6%)、「マス広告とデジタル各々のスタッフがお互いのプロセスを理解していない」(33.9%)などが挙げられた。
また、デジタルマーケティングを推進していくためには、現場の努力もさることながら、経営トップの理解も大きな後押しとなる。
「経営課題であり、推進も経営が関与しないと進まない」(47.3%)、「経営課題だが、推進は現場が中心になって行うべきだ」(25.0%)と、デジタルマーケティングの推進は経営課題であると捉えている人が全体の7割を占める一方で、「経営の理解・成長が必要だが、現状では追いついておらず精進が必要だ」とする人が62.5%にのぼった。
経営の理解が不十分とする考えは、マネージャー・実務担当者と役員・部門長の間で共通していることも明らかになった。
(調査概要)
「デジタルマーケティングに関する一斉調査」調査概要
調査対象:企業の広告宣伝・マーケティング・Web・販売促進・広報担当者などデジタルマーケティングに携わる方
有効回答数:112
調査期間:2017年9月4日~9月29日
調査方法:Questant