今年のCESの見どころ3つ
毎年1月、アメリカのネバダ州・ラスベガスで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー、通称「CES」が今年も1月9日よりいよいよ始まります。
CESは、コンシューマーテクノロジーのショーケース。そのため家電の見本市として開催されてきたものの、テクノロジーがさまざまな分野に影響を及ぼしてきていることから、近年広告・マーケティング業界でも注目が集まっていました。
本開催の前にメディア向けにメディア・イベントが開催されていましたので、そちらの様子をお伝えしようと思います。
「2018 Tech Trends to Watch」によると、今年の見どころは、「ingredient technologies」「In The Market」「Emerging Tech」の3つ。ひとつ目の「ingredient technologies」はこれから様々な分野に応用される可能性を持つ、元となるテクノロジー。代表的なものに、5G、A.I.、Roboticsが挙げられました。
特に5Gは、これまでの4Gが二時間の映像をダウンロードするのに6分かかったのに対し、5Gならたった3.6秒しかかからないほどの情報量のやりとりが可能になるようです。
データの通信スピードが劇的に変わることで、通信はもちろん、自動運転カーやAR/VRの活用など様々な分野のテクノロジー活用が期待されるようになります。またA.I.は、身の回りの物に搭載され、生活者と会話をするフェーズに入るようです。さらに会話をするだけではなく生活者との関係構築に活用されるようになっていくとのことです。
そしてRoboticsはconsumer marketに入ってくるものがますます誕生してくるというものでした。例として抱き枕ロボットが紹介されました。
2つ目の「In The Market」として紹介されたものが、Native Interfacesです。その代表格としてVoiceが挙げられました。Voiceは第四の販売チャネルになりえるほどの可能性があると紹介されました。その他、指紋認識、顔認識という画像認識が取り上げられました。
さらにRealism Redefined という概念として、VR、ARによるMarket JouneyがB2C、B2Bそれぞれで生まれてくると述べられました。特にコンテンツ、ストーリーテリングをVRとARが劇的に変える。SNSもVRスペースができるだろう、と。
注目は健康な生活への改善・治療に関するテクノロジー
3つ目の「Emerging Tech」として紹介されたのが、Smart CitiesとSports Innovation、そして Digital Therapeutics。Smart Citiesはアメリカで取り組みは進み、Sports Innovationも運動量の可視化の他に開催地のデジタル化などの取組みも広がっているようです。
そしてDigital Therapeutics。これまでも健康状態を可視化するものはありましたが、これからはこの分野が爆発的に広がる見込みです。
別セッション「Living in Digital Times: All You Need to Know About 2018 Lifestyle Tech in One Spot」においても、健康な生活への改善・治療に関係するテクノロジーが紹介され、今後の広がりを感じさせてくれます。
印象的だったのはSleep Tech。眠りに関するアプリは過去からありましたが、Phillipsからスマートスリープという、眠りの質を改善するプロダクトが提案されていました。
いよいよ始まる2018年のCES。「ingredient technologies」「In The Market」「Emerging Tech」の3つの切り口で眺めてみると新しい気づきがあるかもしれません。私としてはその中のA.I.、Voice(Native Interfaces)、Digital Therapeuticsに特に注目したいと思います。
玉井博久
Glico Asia Pacific Pte.Ltd.
Regional Creative/Digital Manager
兼 江崎グリコ アシスタントグローバルブランドマネージャー
リクルート、TUGBOATグループを経て江崎グリコ広告部に。グローバルブランドのポッキーとプリッツを担当し「PROJECT:シェアハピ」「GLICODE®」「プリッツの気持ち」「Pocky day」「教えて!ぐりこっち」などを手がけた後、2017年12月よりシンガポールに出向。著書に『宣伝担当者バイブル』(宣伝会議発刊)。