スマートシティの可能性へ舵を切る
今年のCESで、最も注目すべき事象は「スマートシティ」ではないでしょうか。これまでもCESではスマートシティに関する情報が発信されてきましたが、ついに主役に躍り出たと言ってもいいかもしれません。それは冒頭で紹介した通り、5GやAI、自動運転など、多くのテクノロジーがスマートシティに関連付けられていたためです。
フォード CEOのJim Hackett氏は、9日の基調講演の中で「自動車会社として都市から生活を変えていく」と、スマートシティへの取り組みについて語りました。さらにフォードは、人々の生活にAIと自動運転、5Gが大きな変化をもたらし、その中でスマートシティは大きなテーマであること、そしてオープンなクラウド上のプラットフォームを提供することで、エコシステムをつくっていきたいと語りました。
CTAによると、米国の77都市でスマートシティへの取り組みが始まっています。さらに、BOSCHは記者発表のなかで、スマートシティ関連ビジネスは2020年まで毎年19%成長し、2025年には世界で80都市がスマート化するという予測を発表しました。
さらなるエコシステム誕生とライフスタイルの大きな変化
筆者は、CES初日とプレスデイにて、AIなどの新興テクノロジーの進展と、ビジネス構造の変化について示唆が得られたと感じています。米国企業はAIや5G、自動運転などの新興技術について、個別の技術やプロダクトの可能性を語られず、プラットフォーム、エコシステム、そして社会構造の変化への対応について語っていました。
今後、5年から10年で起こるであろうテクノロジーによる大変化に、日本のマーケターもすぐに対応する必要があると考えています。この2018年CESレポートでは引き続き、テクノロジーがコミュニケーションやマーケティング活動に与える影響について、レポートしていきます。
森直樹(もりなおき)
電通 CDC部長 事業開発ディレクター、クリエーティブ・ディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。デジタル&テクノロジーを活用したソリューション開発に従事し、AR(拡張現実)アプリ「SCAN IT!」、イベントとデジタルを融合する「Social_Box」、「SOCIAL_MARATHON」をプロデュース。さらにデジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。最近は、経営や事業戦略に基づくUI・UXデザインや、ネット事業モデルによる事業革新の支援プロジェクトに取り組む。日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に『モバイルシフト』(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia (PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。