参加率79.5%、国民を巻き込んだ世界最大級キャンペーンが実現した背景には「拡散の多様性」があった

【前回の記事】「ストリートアートが生み出した、1秒も無駄にしない広告の方法」はこちら

nobuhiri.arai

荒井信洋(COPYWRITER / TBWA\Melbourne)

博報堂入社後、TBWA\HAKUHODOを経て、2017年よりTBWA\Melbourneへ。TwitterやUstream などSNSのエンゲージメント企画からキャリアを開始したソーシャルネイティブなコピーライター。”体験をコピーライティングする” 企画力に武器に、国内外120以上の広告賞獲得(Cannes Lions Gold/London Gold/Clio Grand Prix/ACC グランプリ/文化庁メディア芸術祭グランプリ など他多数)。最近の企画に、オーストラリア政府観光局”GIGA SELFIE” / キングレコード縦型MV ”RUN and RUN” など。

 

想像もしない規模のキャンペーン

ターゲット人数は、国民の半数以上。
マーケット内に選択可能なブランドは、わずか2つ。
ブランド選択は、おそらく一生に1回きり。

商品広告に置き換えてみると、想像もしない規模のキャンペーンがオーストラリアで行われました。それが、同性婚合法化の是非を問う国民投票です。

2017年11月15日、賛成約61.6%という結果が公表されました。その投票率は、なんと約79.5%。まさに国民を巻き込む2017年世界最大級のキャンペーンを生んだ原動力の1つが「虹色」というブランディングです。

今回は、文字通り、色々なタッチポイントを染めて「YES」の意識を広げた「虹色」を通じて、ソーシャルメディアで拡散するためのヒントに焦点を当てたいと思います。

まずはじめに、いくつか事例をご紹介します。

タイムラインを虹色に染める

Twitter社により、計6種類の絵文字付き#ハッシュタグが実装されました。特定のハッシュタグをつけるだけで、虹色のオーストラリア大陸にYESと記載された絵文字がつぶやける。誰もがポジティブに意思表明できるとともに、流れつづけるタイムライン上で人目を引き、フォロワーが画面をスクロールするその親指を一瞬止めるアイコンとなりました。

 

しかし、この特別な絵文字が染めたのはほんの一部。たとえ指定の#ハッシュタグを使わずとも、あらゆる人がタイムラインを染めることができる。それこそが虹色の強みでした。デフォルトの虹の絵文字を使ったり、様々な色のハートを組み合わせてみたり。特別な#ハッシュタグの存在を知らない人も、タイムラインを鮮やかに彩りつつ、ソーシャルメディア上での興味喚起に貢献しました。

 

 

次ページ 「インスタを染める」へ続く

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