ユーザーインサイトを捉えた「あるあるネタ」で興味喚起
中田:「スマートホルダー」はつめかえ作業の不便さ、最後まで中身を使い切れない、ボトル底面に付く水垢など、消費者がヘアケア商品に対して感じていたストレスを解消してくれる商品です。「KALOS」さんには、それらのメリットを直感的に伝えるためのクリエイティブをご提案いただきました。
田原:動画の冒頭に「お風呂あるある4選(気づいたら空っぽ・手が濡れて滑る・全部つめかえきれない・ボトルが倒れる)」を描くことで、ユーザーが抱える潜在的な悩みを掘り起こし、その解決策として商品を紹介する構成にしています。ユーザーからの賛同コメントが多く、再生数も伸びました。
中田:動画の再生数は当初想定していた以上でしたね。消費者からの多くのコメントは、マーケティングの参考になりました。
神谷:消費者のストレスを解決できるという商品の持つ特徴が、しっかり伝わったのでしょう。メーカーからの一方的な情報発信にならないように、動画の冒頭で消費者が感じているストレスを興味喚起できるシーンで描いたことが勝因だと思いました。
SNSを活用し多面的にアプローチ
Amazon上の動画広告
中田:現代の消費者はさまざまなメディアに接触しており、情報過多な状況にあります。いかに日常で使用しているFacebook、Instagram、LINEなどのSNSツールの中でタッチポイントを作るかが重要です。
そこで今回の動画を「KALOS」さんはもちろん、商品を販売するAmazon上の動画広告や、同社アカウントのSNS上でも流してもらうなど、消費者に多面的にアプローチする戦略を立てました。
その結果、動画配信時の売上は通常時の約4倍に、Amazonプラットフォームに合わせてカスタマイズした動画広告の完全視聴率は、一般的な動画広告の2倍弱になりました。
田原:プラットフォームごとに、動画へのたどり着き方やプラットフォームでの過ごし方は異なります。ですので、ユーザーが自分ごと化でき視聴しやすい動画を各プラットフォームに用意することが重要です。こうした我々のノウハウを花王さんとAmazonさんにお伝えしご意見をいただきながら、細かい調整をさせていただいたことが視聴完了率の高さにつながったと思います。
神谷:今は消費者が自ら情報発信し、メディアになる時代ですよね。
最初の発信源となるアーリーアダプター層はまだ世の中で広く知られていない商品を紹介しますが、逆に大々的にマス広告で告知した商品はあまり取り上げてくれません。「スマートホルダー」はデジタル上の口コミでじわじわ広がっていくことを期待しています。そういう意味では、コメントの質が高かったことが嬉しいですね。
今後は、もっと消費者側から発信していただくために何が必要なのかを考えて、様々なトライをしていきたいと思っています。
中田:そうですね、認知が上がったとはいえ、まだまだ低い段階。SNS上のコメントを見直して、どのポイントが消費者に響いたのかを探っていきたいですね。現在の動画では消費者の4つの課題を均等に紹介していますが、「つめかえ作業が不要」と伝えることで購入率が高まることが見えてきたため、優先順位をつけたいと思っています。
田原:つめかえる必要がない点は、ターゲットに最も刺さるポイントですよね。今後は、そのベネフィットだけを紹介する動画をお届けしたり、ECサイトとの連動を高めたりするなど、新たなお取り組みにもチャレンジしていきたいです。
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