「闘う哲学者」から受験生に贈るメッセージとは?(ゲスト:村田諒太)【後編】

練習ノートはつけない。その理由とは?

村田:焦りはないんですけど・・・澤本さんは目標を立てるんですか?

澤本:立てなきゃなと思いました。

村田:立てちゃったらそれに捉われちゃいそうで嫌じゃないですか?

澤本:確かにそれはそうですね。

村田:スケジュールもそうじゃないですか。僕なんか今日の練習はこうすると考えちゃうと、それに捉われて、途中でやっぱり違うと思いはじめて結局違うことをやったりするので。立てるだけで自己満足して終わっちゃいそうじゃないですか。

澤本:そうですね。目標を立てようとすると、自分も弱い性格なので、気持ち低めに立てちゃいそうなんですよ。それが嫌な気持ちがしますね。

村田:未来は目標通りや予定通りにいくわけじゃないので。澤本さんは30本もCMつくっておいて不思議な(笑)。

澤本:いえいえとんでもない。でも、そう言われると目標立てないで少しずつ上を。

村田:日記でいいんじゃないですか? 今日はこんなCMをつくったと。

澤本:確かにそうしたら読み返せばいいかも。そこそこ頑張って生きたなという気持ちはするかもしれないですね。

村田:そうです。目標を先に立てちゃっても達成できなかったときの憔悴感が半端じゃないですよ。ダメだった、俺と。

澤本:それに途中で達成しちゃったら、それで終わった感もあるかもしれないしね。

中村:村田選手は一時期から練習ノートをとるのをやめたとネットで見ました。

村田:はい、つけませんね。練習ノートをつけると、家帰ってもボクシングのことを考える瞬間ができるじゃないですか。それも嫌ですし、つけるとそこにこだわるので感性が働かないというか。メモ書きぐらいですね。

中村:ボクシングと生活はきっちり分けて?

村田:きっちり分けようとしてるわけじゃないんですが、家帰ったら子どもがうるさいので、ボクシングのことなんて考えてられないですね。早く風呂入れ、メシ食えって。寝かせたりしてると、必然的に忘れざるをえない。どちらかというと、あまり持ち込んではないですね。

中村:子どもはもうお父さんが世界チャンピオンになったのは知ってるんですか?

村田:知ってます。もう6歳と3歳で、上の子が今度小学校に入るので。チャンピオンになったときに電話したら言われましたよ。パパ、テレビ見てたけど、なんでパパがチャンピオンになったか全然わからなかったよって。

一同:(笑)

村田:CM明けだったから。

中村:あー、はい。あとテクニカルノックアウトですからね。

村田:「パパ、チャンピオンじゃなかったんだね。ずっとチャンピオンだと思ってた」って。前からテレビで見てるから、チャンピオンだと思っていて。まわりの人も間違って、お父さんは世界チャンピオンと言ってたんですね。

澤本:でも、お父さんが世界チャンピオンという時期があるときに過ごした子どもって日本にそんなにいないじゃないですか。

村田:どうなるんですかね。

澤本:そういう子はやっぱり普通と違ったことになると思うんですよ。ボクシングやる、やらないではなくて。村田さんは以前、お子さんをボクサーにはしたくないと言ってましたよね。

村田:したくはないんですけど、最近見てるとこいつするんじゃないかという恐怖感があります。でも、生まれたときからボクシングがそばにあるような子なので、すると言っても止められないという気はしてますけどね。

澤本:予感がするんですかね?

村田:最近、嫌な予感がしてますね(笑)。

中村:真似事でシャドー的なことをやったり?

村田:やってます。でも、ボクシングを逃げ道にはしたくないんです。夢を追いかけるんだったらやればいいし、本当にやりたいという覚悟をもってやればいいんですけど、ボクシングさえすればオヤジみたいに金を稼げる、これさえやってればいいんだぐらいの感じでやられると嫌ですね。本当に挑戦する気持ちを持ってくれるんだったら応援しますけど。僕みたいな能力が彼にあるかどうかもわからないですから。

次ページ 「村田さんから、闘う受験生にメッセージ」へ続く

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