2回目のエンダム戦を振り返って思うこと
中村:前の謎の判定というか、一回拳を交えたこともあって、勝てるという気持ちはありましたか?
村田:いやいや、そんなことないですよ。ボクシングのリマッチというのは、スピードがあるディフェンス型のほうが得なんです。というのは、パンチのタイミングが見えているから。避けるのがうまいほうが2回目だったらタイミングがわかっているから、パンチをもらいにくいわけです。
だからリマッチになったらディフェンスが良いほうが勝つんですよ。だから、もしかしたらもっとうまく足を使われて、今度こそポイントアウトされるかなという気持ちもありました。勝てるだろうという気持ちは全くなかったですね。
中村:エンダムはスピードとディフェンスが強いタイプの選手なんですか?
村田:そうです。なので、そういう選手とのリマッチは、こっちのタイミングを読まれていると太刀打ちできないというか。そういった意味では非常に不安でしたし、勝てるだろうという意識は一切持てなかったですね。
中村:エンダム専用の練習をしたんですか?
村田:それなりにですね。専用というのはないです。本当にちょっとしたこういうシーンでというのがあるだけで、基本のボクシング自体を変えちゃうようなトレーニングをすると、持っているものが壊れるので。
中村:日本人選手としては2人目のミドル級世界タイトルということですが、試合を振り返ってみていかがですか?
村田:「レディース&ジェントルマン」とリングでアナウンスするジミー・レノン・ジュニアさんというリングアナウンサーの方がいるんです。僕はジミーさんに昔から憧れていて、あの人がアナウンスしてくれる舞台にあがるというのが、ボクシングの世界戦のイメージで。
今回、ジミーさんが来てくれたのが僕にとっては印象的で、ジミーさんのアナウンスでリングインしていくのがうれしくて。だから試合うんぬんというよりも、そういうほうの思い出や印象が深いですね。
試合ももちろん覚えてます。チャージかけて、プレッシャーかけて、手数も出していたので、7ラウンドが終わった瞬間は疲れていて、「あと5ラウンドもつかな? いや、でも今辞めちゃったら相手のペースになりかねないから、オーバーペースかもしれないけど、このままいくんだ」と、頭の中で考えていたことももちろん覚えてます。
でも、やっぱり何がうれしかったって、子どもの頃に憧れていたジミーさんがアナウンスしてくれる舞台に立てたということが一番大きいですね。
中村:あぁ、いいですね! それと歴史的な再戦、リベンジを果たせたのがセットになったら、感極まるものがありますよね。
村田:そうですね。ホッとしましたね。
中村:村田選手の情報をネットで調べたのですが、素人なりにわかったのはミドル級って賞がインフレしていて、WBAの王者を獲っても王者が他にもいるんですよね?
村田:今は全部の階級がそうです。全階級がWBA、WBC、IBF、WBOの4段階あって、それぞれにチャンピオンがいるので、WBAチャンピオンと言っても一番かというと、そうではなくて。
中村:すごいですね。チャンピオンでも一番じゃないんですね。
村田:そうなんですよ。昔は1つの団体だったんですけど、だんだん分かれていったんです。