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コピーを書いてるだけじゃ、なれなかった(かも)
2008年の鈴木拓磨くん、こんにちは。2018年の鈴木拓磨です。
楽しかったコピーライター養成講座も、もうすぐ終わりだね。ためになったな。仲間もできたな。改めて「コピーライターになりたい」って気持ち、かなり強くなっちゃったよな。
でも、不安だよな。本当になれるのか?って思うよな。
大丈夫。なれるから。いっしょに受講してた仲間から「うちの会社どう?」って声かかるから。けど勘違いするなよ。業界未経験のお前が誘われる理由は「書くコピーが素敵だから」じゃなく「よく講座の飲み会の幹事をしてたから」。何が見られてるかわからないもんだよな。
ともあれ、お前は札幌の広告・イベント制作会社でコピーライターになる。コピーライターの仕事は決して華やかなことばかりじゃないけれど、おかげさまで本当にいろんな仕事があるよ。ちょっと前に携わった仕事はとりわけ得難い経験だった。白い恋人の石屋製菓さんが銀座に開いた、北海道外初の直営店のオープン告知。
北海道と東京とでコピーが微妙に違う2つの新聞広告をつくらせてもらったんだ。それぞれ地域を限定して出稿した新聞広告だから、2つを並べて見る人はいないっていうのが前提。ところがさ、コピーが対になってることが当日の朝からSNS経由で知れ渡って、そのことを取り上げたWeb記事がさらにSNSで広がって…それまでつくってきた新聞広告とは違う、すごく新鮮な反響だったよ。
ところでSNSってわかるよね。mixi?あ、うん、まあ、それ的なやつ。Twitter?そうそう、それそれ。めっちゃ流行るから、それ。
好きなことは、仕事になっちゃう(かも)
SNSっていえばさ。お前ビール好きだろ。自分の飲んだビールのこと、こまめにSNSに投稿しとくといいよ。意味ない?それが意味あるんだって。
これも実際にあった話なんだけど、仕事したことないデザイナーさんからある日突然「ビールお好きなんですか?」って連絡がきてさ。クラフトビールのお店のウェブのコピー依頼だったんだよね。そこがまた素敵な店で…え、クラフトビール?ああ、わかんないか。えっと、超ざっくり乱暴にいうと、おいしくて個性的でおしゃれな地ビール、みたいな。
いや別に、仕事ほしさにSNSやれって言ってるんじゃないよ。なんならSNSじゃなくたっていい。でも、自分の好きなことを発信していれば、仕事につながるようなことも起こりうるっていう話。セルフブランディングっていうか、あるみたいよ、最近。
そうそう、好きなことっていえばさ。お前が好きなサイトで「デイリーポータルZ」あるでしょ。そこで天久聖一さんが始める「書き出し小説」っていう、小説の【冒頭だけ】を書こうっていう読者投稿コーナー。面白いから絶対に投稿しろよな。ときどき採用されるから。で、本になったときも作品、載るから。うれしいから。そんでさ、「書き出し小説をやってなかったら、このコピーは書けなかったかも」なんてことも、そのうちあるから。
まあそんなこんなで、講座が終わって10年、コピーライターになって9年、言葉と遊んだり格闘したり、楽しくやってるよ。コピーライターになれてよかったなあ、なってよかったなあ、って思うよ。これからも頑張るよ。だからお前も頑張れよ。コツコツやってりゃたぶん大丈夫だから。
妻だけは大事にしろよマジで。じゃ。
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鈴木 拓磨(すずき たくま)
T.C.P コピーライター。1982年北海道小樽市生まれ。北海道大学文学部卒業。芸能マネージャー、ウェブコンテンツ制作を経て2009年より現職。宣伝会議コピーライター養成講座札幌教室(第7期)修了。書き出し小説のペンネームはsuzukishika。http://suzukitext.com