今年度、カンヌライオンズのフィルム部門でシルバーを受賞したアサツー ディ・ケイの森川晴久氏と、元乃木坂46のメンバーで、活動の幅を広げる深川麻衣さん。挑戦を続ける二人が向き合う仕事について聞きました。
足立:まずは森川さん、鶴弥 防災瓦の「耐える男たち(Sticking Together,No Matter What)」にて、カンヌライオンズの シルバー受賞おめでとうございます。受賞した作品の企画のポイントとは。
森川:ありがとうございます。今回の作品のテーマは、海外の方はおそらく見たことがないと思う「瓦」だったので、伝わるかどうかの不安はありました。でも日本では瓦は、1000年も前から私たち日本人の屋根を守っているものなんですよね。実は瓦は、縁の下の力持ちですごい存在なんだと知ってもらいつつ、カンヌは日本文化を意識するところがあるので、そこも感じてもらえる作品づくりを目指しました。
足立:本当に堂々とした面白い作品ですよね。審査員の方にもきちんと伝わったこその結果ではないでしょうか。
森川:新しいものが選ばれるイメージのあるカンヌで、クラシカルなCMが受け入れられるかな、という思いがあったので、受賞できて嬉しいです。
足立:過去の受賞作品の研究もしていたのですか。
森川:それは、もう。死ぬほどしていました(笑)。8年ほど前から「カンヌで賞を獲ろう」思っていて、今回が3回目の挑戦でした。限られた予算で質感の良いものを撮るにはどうしたら良いのか、カンヌの審査員は目が肥えているので、いかに目に止めてもらうかを研究しました。