資生堂アメリカのJWALK買収に見る、クリエイティブを重視する新しい組織の形

イノベーションは、テクノロジーではなくリレーションから生まれる

「ダグとは私は常に直観とイノベーションマインドセットと呼ばれるマネジメントスタイルに従ってきました。」と話すラストリア氏。「我々はそのスタイルを資生堂の持つ膨大な経験値と消費者インサイトと融合することができます。今回、チームの一員に加わったことで、資生堂のKPIやデータにより深く関わることが可能になりました。ビューティ業界にとって、先々のトレンドを予測することは非常に重要なことであり、資生堂のデータアセットがあれば2年先の生活者動向を予測できます。ブランドをインキュベートする環境が、より一層整ったと感じています」。

資生堂アメリカの広報担当 Jadzia Zielinski Tirsch氏は、「資生堂社内でゼロから部門を立ち上げ、人材を育成するには時間がかかります。我々のブランドを長らくリードしてきたJWALKを買収することによって、よりスピード感を持ってイノベーションを実現できると考えています」と話す。

現在、JWALKのレベニューの8割は資生堂の仕事が占め、他のJWALKが出資しているブランドなどを含むクライアントの仕事は2割という。他カテゴリーのブランドの仕事を手がける意義について、ジェイコブ氏は「ビューティ業界は他業界から孤立しがちです。我々はビューティ業界のプロフェッショナルであるだけでなく、他業界のクライアントワークを通じて学び、資生堂ブランドに還元する必要があると感じています。また、優秀なタレントを維持するためにも、業務の多様性は重要です」と話す。

次ページ 「違いをリスペクトし前進する、新しい組織像」へ続く

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