日本ABC協会は、2月28日に「雑誌ブランド指標勉強会」を開催。「雑誌ブランド指標ガイドラインの改定」について解説を行った。これは2015年下期より導入している「雑誌ブランド指標」における、デジタル領域の評価基準をより明確にするものだ。
電通が22日に発表した「日本の広告費(2017)」によれば、雑誌広告費は2023億円で日本の総広告費の3.1%。メディア環境研究所発表の「メディア定点」によれば、雑誌との接触時間も、1日あたりのメディア接触時間において3.1%に留まるという。
今回の「雑誌ブランド指標ガイドラインの改定は、「この3.1%という数値が、現在の出版業界の影響値を正しく表しているのか」、「昨今の急速なデジタル化において、潜在化してしまった数値があるのではないか」という視点のもと、雑誌ブランドの価値を改めて可視化し、メディア指標の定義と情報の信頼性を担保したいという狙いのもとで進められた。
なお、今回の変更点は大きく分けて3つある。
1つは、どこまでを雑誌ユーザーとみなすかという定義だ。これまでは雑誌購読者、サブスクリプションサービスや自社サイトの利用者をユーザーとしてカウントしてきた。そこに【外部配信先からの閲覧者】が加えられることとなった。
2つめは、WEB数値に関する定義だ。具体的には、【外部配信における数値】を評価対象として加える。というのも、今回の改定にあたって媒体主へアンケートを実施したところ、公開されたPV数の算出根拠にばらつきがあり、自社サイトのPV数と外部配信の数値が混在している状況だったという。外部配信の数値はコンテンツの拡散力を表す指標となるため、今回の変更に至った。
3つめの変更は、WEB数値の表記方法である。前述のとおり、これまで混在していた【自社サイトと外部配信先の数値を、それぞれ明記する】ということだ。この変更によって広告主は出稿先検討の際、より正確な指標のもと検討できると見込んでいる。
なお、外部配信先の数値として掲載されるのは雑誌ブランド指標の活動に賛同した下記5社だ。
- ・グノシー(ルクラやニュースPASSなど他グノシー運営のサイト含む)
- ・スマートニュース
- ・TRILL(Yahoo!ビューティーも含む)
- ・Yahoo!ニュース
- ・LINEアカウントメディア
※配信先ごとの数値ではなく、平均数の合計が掲載される
当日はガイドライン改定の解説のほか、ビデオリサーチから米国事例として「MM360°」が紹介されたほか、パネルディスカッションも実施。小学館がパナソニック協賛のもとで運営する『Men`s Beauty』における男性用美容家電のタイアップ事例や、同じくパナソニックが日経BPと展開する『未来コトハジメ』、ヤフーが『週刊東洋経済』と共同で進める有料記事のテスト販売など、出版業界がそのコンテンツ力を生かして、他社と協業した事例が紹介された。