嫌われてるのは、広告ではなく販促だ!そこにネット広告成長の鍵がある

【前回の記事】「「サザエさん」の番組提供はAmazon、日産? ネット広告もテレビの「提供」というスタイルから学ぶことができる」はこちら

先日、2月22日に電通が「2017年日本の広告費」を発表しました。毎年この時期なのでそろそろと思っていたら、キターーー!って感じ。

私は毎年この数値が出るとグラフにして眺めています。電通の集計は1985年から数字を見ることができるので、1985年から最新値をグラフにするわけです。ちなみに昨年の発表値つまり2016年までのグラフはこんな感じでした。

ざっと言うと、80年代にはテレビ(青)と新聞(オレンジ)は一緒に伸びていたのが90年代になるとバブル崩壊で道が分かれた。テレビは2000年代まで伸び続けたがその後は停滞。新聞はもうバブル期以上に伸びずに下がり続けた。途中からインターネット広告費が登場し、リーマンショックで新聞は完全に下降基調でテレビは微増。インターネットは新聞を抜き去ってテレビに近づいていく。そんなところです。この傾向は2009年以降、同じ感じでした。
さてこれに最新値の2017年の数字を入れてみました。それがこれ!

上のグラフとちょっと印象がちがうことに気づいてください。インターネットがひとり、ピンと背筋を伸ばしている。そして90年あたりの新聞と比べても上回っています。実際、新聞広告の最高値は90年の1兆3592億円でした。インターネット広告は去年は1兆3100億円だったのでそれよりは低かった。ところが2017年はインターネット広告費が1兆5094億円だった。もう新聞の最高値より上回ったわけです。

さらに、インターネットがテレビに追いつくまであと一歩だね、という感じです。去年の数値だと、インターネットがテレビに並ぶのは2020年かもね、という雰囲気でしたが、この勢いだともう一年早まる可能性も出てきたような。

気になるのが、テレビが2015年に一度減って、2016年にまた増えて、今回2017年はまた減ったことですね。それと新聞との関係。実は2009年のリーマンショック以降テレビが増えた分と、新聞が減った分が非常に近いんですね。

テレビと新聞が小さな食い合いをしていたのかも。新聞広告がキャンペーンに組み込まれることがほぼなくなりましたよね。新聞打つならスポット増やそうぜ。そんな数年間だったのが、一区切りついたのかもしれない。

いよいよ、テレビの予算をネットに回そうか、という流れがはっきりしてきたのではないかと。

次ページ 「ネットがテレビも抜きそうなのを見ると」へ続く

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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