PRプランナー10周年 アサヒGH泉谷会長「信頼築き、攻めのPRを」

日本パブリックリレーションズ協会は3月1日、都内で「社会をつなげる、未来を動かす ~A Future Vision of Public Relations」と題した特別シンポジウムを開催した。同シンポジウムは日本で唯一の広報・PRに関する資格認定制度である「PRプランナー資格認定制度」が今年で10周年を迎えることを記念して、経済広報センターと日本広報学会の協力によって実施されたもの。

月刊『広報会議』の調査*では、PRプランナーの資格を保有している広報パーソンは16.4%(PRプランナー補、准PRプランナーは除く。広報会議2018年4月号にて詳述)。広報・PR業界全体の向上のためにもこれからますます必要性は高まっていくと見られる。

冒頭では「経営者から見た広報・PRへの期待と課題」というテーマで、アサヒグループホールディングス 代表取締役会長兼CEOの泉谷直木氏が講演した。泉谷氏は自身も広報部長を務めた経験から、「広報・PRの基本は『情報収集』。ステークホルダーである消費者やメディア、株主について日々情報を得ながら、交換型のコミュニケーションで信頼関係を築いていくことが『攻めのPR』である」と話した。

アサヒグループホールディングス 代表取締役会長兼CEOの泉谷直木氏。

広報・PRのこれからを考える

シンポジウム内では、現役の広報・PR部門長によるパネルディスカッションも実施された。オムロン グローバルIR・コーポレートコミュニケーション本部長の井垣勉氏、帝人 コーポレートコミュニケーション部長の宇佐美吉人氏、NEC コーポレートコミュニケーション部長の飾森亜樹子氏が登壇。井之上パブリックリレーションズの鈴木孝徳代表取締役社長がモデレーターを務め、「広報・PRの課題とこれからの可能性」について議論が行われた。

コーポレートコミュニケーションと経営層との関わりについて、「これからは広報が社会課題起点のストーリーづくりをしていくことが、企業の存続を決定づける」と飾森氏。NECでは食料廃棄率を下げるためにAIを活用する技術開発や、セキュリティ技術によって社会課題を解決する取り組みなどにも注力しているという。

宇佐美氏は「社長のための広報ではなく会社のための広報。積極的に他部署と交流を持ち、情報発信計画を共有することでインターナル・エクスターナル両方の良好なコミュニケーションが実現できる」と話した。

また、井垣氏は広報・PRパーソンのキャリア形成についても言及。「人材育成のために広報部門への内部異動も実施しているが、その場合は将来の経営幹部になり得る人材を受け入れている。広報・PRは社会との接点を持つ仕事。キャリア形成においても貴重なワンステップになるのではないか」と話した。


*「キャリアと働き方に関する調査 2018」調査概要
調査方法:インターネット
調査対象:『広報会議』購読者・取材協力企業・株式会社宣伝会議が主催する広報関連講座への申込者
調査期間:2018年1月~2月
有効回答:165

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