調査を設計する
遼平はレクチャーを続けた。
「いくら実際の調査を調査会社が担うといっても、丸投げでは良い結果を得ることができない。こちらは何が知りたくて、その後どのような分析をするのかをしっかりと伝えることが、良いリサーチを行うポイントとなる。調査会社とのやりとりには調査企画書を作成しておくと、こちらの意図を分かって作業を進めてもらうことができるんだ」
「前に一度広報部の時にリサーチを実施したときは、様々な部門から設問の要望が挙がってきてしまったけれど、こうした企画書にまとめておけば、どんなに要望されても設問に加えるかどうか検討の基準となりますね」
「そうだな。本来の調査目的をしっかりと認識し、ブレのない、価値のあるリサーチとするためには、調査企画書を作成し、企画に基づきリサーチを進めていくことが必要なんだ」
遼平は、調査企画書の項目を説明した上で、葵と敦に調査企画書を作成するように指示をした。
翌日、葵と敦は出来上がった調査企画書を遼平に報告した。
「良くできているね。これまでの経緯が分かって良いと思う。調査目的にあるように、今回は新事業ということに留意しなければならない。調査項目にビジネスモデルに関する項目を入れることを忘れないようにしないといけないな」
【解説】
調査設計は少し面倒な作業かもしれません。ただ手を抜いて調査会社とのやりとりを人任せにしてしまうと思わぬ失敗に陥ってしまいます。文章にすることで考えをまとめることができるので、調査をする際には、本書内にある調査設計書の項目を確認してみてください。