デジタル・コミュニケーション・カンパニーのスパイスボックスは1月30日、宣伝会議(東京・表参道)で「SNSで情報拡散するPR施策を自社制作するためのチームづくり」と題したセミナーを開催。生活者の情報基盤がマスメディアからソーシャルメディアに移っている現在、企業の広報、広告コミュニケーション活動は、どのようなチームでコンテンツのプランニングをするべきか。先進的な取り組みを行っている企業の広報・マーケティングチームのリーダーが自社の取り組みを紹介、パネルディスカッションを行った。
チームに求められる迅速さと情報感度
第1部ではスパイスボックス 副社長の物延 秀氏が登壇。SNSで情報拡散する時代にコミュニケーションを担うチーム作りのノウハウとマネージメントについて講演した。
物延氏はまず今、求められているコミュニケーションについて「情報爆発とコモディティ化によって、モノ、コトがあふれる社会では情報伝達だけでは生活者に響かなくなってきている。さらに商品が認知をされても商品選択につながらないことがある。生活者にどれだけ興味共感を持ってもらえるのか、ソーシャルメディア上で実際に生活者が能動的に行動していることにアンサーしていったり、応援したりしてコミュニケーションをするということが大事になってくる」と述べた。
このようにコミュニケーションの役割が大きくシフトしている中、それを担うチームはどのようにあるべきか。物延氏は「専門的なアナリスト、コンテンツをプランニングする人材がいない場合、アウトソーシングするが、現実的には多くの人が関わることにより、時間とコストのロスが起きている。どんなイシューやトレンドを捉え、どうアンサーするコミュニケーション戦略を設計するのか、戦略部分は内製し、共通認識を持ちながら外部パートナーと共に施策を実行に落とし込んでいくことが非常に大事」と述べた。
第2部では「『コンテンツプランニングカルチャー』を根付かせるために必要なモノ・コトとは?そしてチームリーダーに求められることは?」をテーマにドミノ・ピザジャパンの富永朋信氏、東宝の大串喜映氏が加わり、物延氏と共にパネルディスカッションを行った。
富永氏は今コンテンツが求められている理由について「画一的なコミュニケーションでアプローチしても消費者に届きづらい時代に、コンテンツはマーケターにとってひとつの『解』だと思う。マーケターとしては消費者を魅了する物語をどうやって見つけてくるかが重要になる」と述べた。
一方、大串氏は組織づくりに言及。「自分自身が業務全体を把握しておくことが重要」とし雪かきを例にとり、「自分で雪かきをして初めてすべての除雪を終えるまでにかかる時間や必要な人員がわかる。自分でも業務の中身が分からないところをアウトソースしたり部下に任せると業務の全貌が見えない」と指摘、チームリーダーとしての心構えを披露した。
さらに富永氏は「ブランドをつくるとは価値規定を守ることで、新しい取り組みを行うコンテンツカルチャーとは相性が悪いのではないか」と指摘。「20世紀のブランドマネージメント型の課題を変えることによりコンテンツカルチャーが根付く」と語った。それを受け物延氏は「守る」部分と「どんどんカルチャーとして育てる部分」を成功させている例としてレッドブルを紹介。「コアな守るべきものがあると、チャレンジすることも明確になる」と説明した。