■「Facts, Truth, and Data Visualization」
このセッションの主張は明確で、一言で言えば「きちんとグラフ書きましょう」という内容でした。私は、東大で数学の授業を受け持っているのですが、そこで行なっている内容を極めて体系立てて説明してくれたという印象です。
グラフを書く際には、まずはデータを眺めてから、取りかかろう。そしてグラフが完成したら、最初にデータを眺めた時に感じたことが、きちんと表現されていて、事実が歪められていないか、必ず見直すといった内容です。そして、グラフはある判断をするためのツールであることを忘れていけないという主張がなされていました。
■「The Real Thing: Machine Learning and Coca-Cola」
コカ・コーラのfreestyleという自動販売機があります。これは、コカ・コーラが持っている複数のジュースをミックスして楽しめる自動販売機です。アメリカでは、この自動販売機の場所を探したり、事前にジュースの混ぜ方をスマートフォンで決めておくこともできます。この自動販売機のデータや、スマートフォンのアプリのデータから、どのような味が求められているのかを分析するという内容を中心に説明がなされていました。
このセッションの中ではAIを使う時の留意点についても、話がありました。まずは、データの量が必要なこと。AIで分析しようとする時には、今までよりも大量のデータが必要で、そのために「データ・オフィサー」を置いているそうです。そして、データを使った仕事の方法にも変化があるとのこと。今までは、データ分析に多くの時間を使っていましたが、AIを活用するようになって、分析はAIが今までより高速で行う代わりに、データを収集、さらにクレンジングする時間が圧倒的に多くなったそうです。
しかし、このような変化を受け入れることでコカ・コーラは、新しい味のジュースを出すのに、1年かかっていたサイクルが大幅に短縮されたとのことです。
■「From AI to EI: Empathy is the New Tech Superpower」
日本では、AIが仕事を奪うとか、AIはまだまだなどの意見もあります。しかし、このセッションでは、Aiの存在を受け入れた上で、私たちが「人」として重要なことは何かについて話し合われていました。
AIでもできることは、AI に任せるとして、「人」は何を生きがいに、何を幸福に感じて生きて行くのかを考えることが重要と話します。この時、それぞれの「人」によって、「生きがい」や「幸福なこと」が異なること、さらにそれらをきちんと見つけることが重要であると話が続きました。つまりAIを受け入れた世界では、人の「Emotional Intelligence=EI」が重要であると、話が続きました。
さらに、AIを受け入れると同時に、AR/VRのような技術もどんどん私たちの生活に入ってきます。しかしそれらもあくまでツールなので、上手に使って、「人」と「人」の関係を深め、一人ひとりの「人」の「生きがい」や「幸福なこと」の発見に使えるのではとのアドバイスがありました。