【前回】「#SXSW2018 主役は「人」に。注目のセッションをレポート(本間 充)」はこちら
技術を見るな、人を見よう
今回のレポートでは私がSXSW2018で参加したセッションとトレードショーで感じたこと、考えたことについてデザインやコンテンツマーケティングといった観点からレポートしたいと思います。
■「Increasing CTR with 1:1 Content Marketing」
コンテンツ・マーケティングに関しては、米国でも話題になっています。ただ、このセッションでは、日本での広告とコンテンツという文脈より、さらに一歩踏み込んだ内容になっていました。
コンテンツには「Authenticity」と「Personalization」が必要。つまり一人ひとり合わせた、信頼される記事が必要であるという主張が展開されました。従って、コンテンツを考える時にはまずコミュニケーションの相手である「人」を考えることが重要という展開に。
例えば、ファッションに関するコンテンツが、FacebookやInstagramで多く語られている理由は「その内容が個人ごとのメッセージであり、広告でないことだからだ」とパネラーの一人が説明していました。また、コンテンツ制作のためにIT技術を使うという説明も、大切な指摘でした。
■「Beyond Ads: Become Entertainment」
このセッションでは、コミュニケーション相手と深いエンゲージメントをつくるために、エンタテインメント性の高いコンテンツを、旧来のトラディショナルな広告のつくり方に変えて行なってみた事例が紹介されました。
例えばHPでは、「The Wolf」というシリーズの動画を公開しました。これは、HPのプリンター・ビジネスを紹介するものですが、6分もの映画館で上映されるような質の高いコンテンツになっています。
実際にこれは映画の予告編が非常に質が高く、ネット空間でもあえて広告をしなくてもよく視聴されることにヒントを得て制作されています。このように、対象の相手が見たくなるような映像をつくれば、自然と映像は視聴され、結果としてエンゲージメントが高くなるのではとの考え方です。
今まで動画の制作費と配信費用(例えば、テレビコマーシャルの放映料など)を比べると、一般的に配信費用の方が高額になっていました。しかし、自然と見られる動画をつくるために多くの制作費を活用し、逆に配信費用を抑制するという、今までの発想と異なる費用配分にもなります。
さらに別のケースとしては、ゲータレードのエンゲージメントのために、Snapchatを活用した事例も紹介されました。この事例では、プロダクションと広告主であるゲータレードと、コンテンツプラットフォームのSnapchatをつなぎ、対象となるスポーツファンが楽しめるようなコンテンツをつくった事例が紹介されていました。