福島県は、「平成29年度クリエイティブ伝統工芸創出事業」によって開発された商品「FUKUSHIMA PRIDE 2018 collection」を発表。2018コレクションの一部と2017コレクションを、3月25日まで東京・GINZA SIX内の銀座蔦谷書店で販売している。
本事業は県の指定伝統的工芸品を対象とし、「消費者のライフスタイルや価値観の変化による需要減少」「人材・後継者不足」という課題解決のために、クリエイターとのマッチングを実施。ファッションデザイナー コシノジュンコ氏をはじめとするクリエイターと公募により選定された事業者によって開発が進められた。
コシノ氏は、会津木綿、会津塗、和紙、ニットなどの10事業者と商品を開発。氏の基幹コンセプトである「対極の美」(自然が創り出した丸、人間が創り出した合理の四角や白と黒などの対比と共存の美しさ)から白と黒をテーマに、ホテルや旅館などの空間でおもてなしを演出するプロダクトの開発に挑んだ。
また、「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」のサポートメンバーを務めるプロデューサー 川又俊明氏と4人のデザイナーは「NEW STANDARD」をテーマに、桐の家具、だるまくじ、新しい形状の位はいなどを開発した。
3月21日には、福島県・内堀雅雄知事が会場を訪れ、コシノ氏とのトークイベントを実施。内堀知事は、このプロジェクトについて「新しい挑戦」と話した。
「今回の事業に二つの思いを込めている。一つは、伝統的工芸品、地場産業、FUKUSHIMA PRIDEをもっと多くの人に知ってほしい。もう一つは、伝統と革新。福島の伝統文化を守って継承していくと同時に、イノベーションに挑戦することが大事と考えている。コシノさんをはじめクリエイターたちによるデザインの力という新しい息吹を吹き込むことで、伝統的工芸品や地場産業をもっと進化させていきたい」。
「行ってみないと、わからないことがたくさんあった。初めてのことも多かったけれど、子どもみたいな感覚で取り組んだ」と、コシノ氏。福島の事業者のもとに足を運び、素材に触れる中で、自ら和紙の手漉きも経験したという。
「こうした出会いこそが、まさにクリエイティブ。知事や事業者の方たちに会って話をしてイメージが湧き、あっというまに形になった。止まらず、動いていることが大切。復興は簡単にできないけれど、今回のように一人ひとりの生きがいや仕事のきっかけをつくることが前に進んでいく一歩になると思う」。
GINZA SIXにおける本コレクションの展示・販売は、25日まで。また、コシノ氏のデザインによるFUKUSHIMA PRIDEは、3月24日からフランス・パリで展示会を開催。今後も首都圏を中心に発信し、FUKUSHIMA PRIDEをさまざまな場所で使ってもらう機会を増やしていきたい考えだ。
川又俊明氏プロデュースによる「FUKUSHIMA PRIDE」
FUKUSHIMA PRIDE 2018 collection
日時:3月22日~25日
場所:GINZA SIX 6F 銀座蔦谷書店 イベントスペース
参加事業者:白河産業 (会津木綿・白河市)、井上窯(二本松万古焼・二本松市)、千藤(会津塗・会津若松市)、小浜製作所 (金属加工・南相馬市)、東工業(金属加工・白河市)、二本松市和紙伝承館(上川崎和紙・二本松市)、関美工堂(会津塗・会津若松市)、世界のガラス館(ガラス工芸・猪苗代町)、フクイシ(石材加工・田村市)、大三(ニット・伊達市)、会津松本(会津桐/会津若松市)、白河だるま総本舗 (白河だるま/白河市)、野沢民芸品製作企業組合(張り子/西会津町)、正木屋材木店(木工品/いわき市)