第2回「三井ゴールデン匠賞」グランプリは、石川県・輪島塗の桐本泰一氏に決定

伝統工芸の分野において革新的な取り組みをしている人を表彰する第2回「三井ゴールデン匠賞」の贈賞式が、3月20日に開催された。

グランプリを受賞したみなさんと審査員。

贈賞式では、第2回「三井ゴールデン匠賞」を受賞した5組(個人および団体)の匠を表彰するとともに、受賞者の中から、審査員により選定されたグランプリ、そして一般投票により決定したモストポピュラー賞を各1組ずつ発表した。

栄えあるグランプリに選ばれたのは、石川県輪島市の輪島塗、桐本泰一氏( 所属:輪島キリモト) 。そしてモストポピュラー賞に、新潟県燕市の燕鎚起(ついき)銅器、玉川堂(団体として受賞、代表:玉川基行)が決定した。

グランプリを受賞した桐本氏は、江戸後期から続く漆器業の7代目。分業主流の輪島塗産地で、先駆けて木地、漆塗りの一貫生産を実現し、消費者ニーズへの対応に努め、長年にわたって産地の改革と活性化に取り組んだ実績が評価された。現代の様々な生活シーンに馴染む漆器や家具、建築内装材を国内外へ幅広く提案している。さらに、産地内の若手、中堅、漆芸研究所生徒等40数名を集めた「輪島クリエイティブデザイン塾」などの事業を推進し、後継者育成にも尽力している。

グランプリを受賞したキリモト 桐本泰一氏と輪島塗の作品。

桐本氏は「木地屋から一貫生産を始めて、様々な苦労もありましたが、この賞をいただき感動しています。この受賞は、ひとえに職人、スタッフ、家族のおかげです。この仕事が大好きで、ナンバーワンを目指すのではなく、世界のオンリーワンを目指す気持ちでやってきました。これからも輪島の素材を活かしたモノづくりを続け、このあと何百年も続き、発展していくように精進していきたいと思います」と受賞のコメントを述べた。 
モストポピュラー賞を受賞した玉川堂 代表 玉川基行氏は、燕鎚起銅器を200年に渡って受け継ぐ老舗の後継者として、海外ブランドとのコラボレーションや異業種との新製品開発などに尽力。問屋との関係を見直し、百貨店との直接取引や直営店舗設立といった流通機構改革への実績が評価された。「伝統工芸に興味を持っていただいている多くの方々にご支持頂くことができ、大変嬉しく思っております。伝統は革新の連続であると考えています。

玉川堂はかつて記念品の製造中心でしたが、今は、直営店を持つことで、お客さまと職人が直接会話することができるようになり、どのような商品が求められているのかを学びました。今後は海外にも直営店を出したいと考えていますが、最終的には、海外の人たちに、燕三条へ来てもらえるようになることが私の目標です」と、受賞のコメントを述べた。

モストポピュラー賞を受賞した玉川堂 玉川基行氏と燕鎚起銅器の作品。

今回の三井ゴールデン匠賞には桐本氏、玉川氏の他に、大洲和紙の五十崎社中 齋藤宏之  氏(愛媛県内子町)、中川政七商店 伝統工芸プロデューサー 中川政七氏(奈良県奈良市)、九谷焼の妙泉陶房 山本篤氏(石川県加賀市)が選出されている。


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