3月31日から、横浜・新聞博物館ニュースパークで「時代の空気。副田高行がつくった新聞広告100選。」という展覧会が始まる。
タイトル通り、アートディレクター副田高行さんが39年にわたって制作に携わった新聞広告(15段)約100点を、会期前半と後半にそれぞれ半数ずつ展示する。「いま新聞広告は元気がないと言われる中で、あえて新聞広告だけを見てもらおうと思い、企画しました」と、副田さんは話す。
副田さんがこの展覧会を開催しようと思ったきっかけの一つが、ここ数年ADC賞など広告・デザイン賞審査会において新聞 広告の出品数が減少、正月広告の出稿を止める大手企業が増えるなど、新聞広告としてよいものを目にする機会が減ったことに ある。
「かつて新聞広告は広告の中心にあり、お正月広告からは数々の名作が生まれました。私自身、制作を重ねながら、他の新聞広告を見て多くの刺激を受けたものです。ところが、いまや即効性や効率を考えて、Web広告への出稿が増えています。でも新聞ほど公正で信頼がおけるマスメディアは他にはないし、多くの人が目にするというダイナミズムもある。だから、私はいまでも新聞広告は広告の中心であるべきだと思っています。何よりも企業広告には、最適の媒体ですから。40年近く新聞広告をつくり続けてきた一人として、そんな状況をなんとか打破したいという気持ちがありました」。
2016年にコピーライター仲畑貴志さんの個展「大仲畑展mini」(展示は副田さんが 関わった)で本物の広告ポスターや新聞広 告の展示を見たことも、今回の展覧会につながっている。
「例えば JR 九州の『愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。』というコピーで知られる広告。今から25年前のもの。多くの人はこのコピーを知っているものの、年鑑などに掲載されている状 態でしか広告を見たことがないでしょう? 僕も久しぶりに本物を見たら、粒子がとても粗くて、フィルム写真の力強さにあらためて驚いたんです。そのときに、本物の広告を見ることで得られる価値って、まだまだあるんじゃないかなと思いました」。
本展では、40年近く制作した新聞広告の中から、1年ごとに数点を選出。1980年の「サントリービール ナマ樽」から、2017年の「横浜BAY QUARTER」まで100点が展 示される。サントリー、西武、新潮文庫、東京ガス、TOTO、岩田屋、トヨタ、ANA…など、副田さんがさまざまなクリエイターと共につくりあげてきた新聞広告が並ぶ。
「この展覧会で新聞広告のみならず、広告ってこんなことができるんだという、広告 そのものの可能性をぜひ見てほしい。そして、さまざまなクリエイターが、熱い想いでつくりあげた広告から何かを感じてもらえたら、うれしいです」。
会場では、前期・後期ぞれぞれの作品をまとめた、副田さんの解説付き図録も発売される。ボディーコピーまでしっかり読めるタブロイド版サイズだ。また、会期中にはトークイベントも予定されている(要予約)。
トークショー
・児島令子 × 副田高行 4月7日(土)14:00~16:00 ※現在、受付中
・前田知巳 × 副田高行 5月19日(土)14 時~16時
※5月5日(土)12時 受付開始。先着120名。
いずれも、詳細・応募はこちらまで
時代の空気。副田高行がつくった新聞広告100選。
会期:3月31日~7月1日
前半 1980~2000:5月13日まで
後半2001~2017:5月15日から
会場:ニュースパーク(日本新聞博物館)2階 企画展示室
時間:10時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は、次の平日)
入館料:一般400円、大学生300円、高校生200円