テレビスポット取引指標の変更で広告プランニングはどう変わるのか

2018年4月から関東地区のテレビスポット取引の指標が変更される。変わるポイントは2つ。まず、「世帯」視聴率が「個人全体」(ALL)視聴率となる点。2つ目はリアルタイム視聴に「C7」と呼ばれる放送後7日間以内のCM再生視聴率が加わり、P(番組平均・終了時)+C7となることだ。この変更を踏まえたプランニングのポイントについて、メディア投資効果改善のサービスを提供しているアクシバルの代表取締役社長・沼田洋一氏が解説した。

アクシバル・沼田氏

沼田氏は、まず今回の変更について「これまで価値換算されていなかったタイムシフトや個人ベースの視聴という生活者の行動が可視化され、価値化されるようになるのは良い傾向ではないか」と語り、変更を前向きに捉えた上でその背景やプランニングのポイントを語った。

変更の背景にあるのは、日本の「超高齢化」である。現在視聴者の半分近くが50歳以上となり、世帯視聴率は視聴実態をうまく反映できていないと言える。効果測定に対する広告主のニーズも変化しており、広告認知率などの「%」データよりも自社サイトのアクセス数などの「実数」データを指標にする傾向が強まっている。そこでは、テレビ/デジタルといったメディアの垣根を超えた測定指標の確立と運用が求められる。

こうした中、沼田氏は「顔の見えない世帯から個人へ、そして%から実数に評価指標を変えていくことで、より見込み顧客となりそうなクラスターやユーザー層を見いだせるようになるだろう」と話した。

一方関東以外の地区は従来通り世帯視聴率での取引が行われることを踏まえ、プランニングにあたり2つのポイントが指摘された。

「ひとつ目は、エリア配分。関東とそれ以外では指標が異なるので、どちらかに換算しないと全国の投下量を横並びで見ることができない。社内でどの指標を基準に用いるのかを決めておく必要がある。2つ目は、期間外露出。タイムシフトが指標となることで、キャンペーン期間外に露出されるスポットが気になる人もいるだろう。実際に集計してみた複数のケースでは、投下量全体の0.2%程度の僅かな量だ。ここを気にするよりも、ふさわしいターゲットを選ぶこと、ふさわしいクリエイティブをつくることに集中すべきだ」と沼田氏は会場のマーケターに呼びかけた。

インテージ・李氏

第2部では、インテージ メディア情報企画開発部部長の李相吉氏、TVISION INSIGHTS 代表取締役社長の郡谷康士氏が加わり、「マーケティングデータとしてのテレビデータの活用」についてセッションを行った。李氏はスマートテレビのデータからスポーツ番組など県別にテレビの見られ方が違うことなどがわかり企業のエリア分析に役立つのではないか、と紹介。

TVISION INSIGHTS・郡谷氏

郡谷氏も視線データを活用したVI値、AI値の分析からテレビのクリエイティブ活用がもっと効率的、科学的にできるのではと話した。沼田氏は取引指標として視聴率データだけでなく、さまざまなデータを組み合わせることでテレビの新しい価値を創造できるのではないかとセッションを締めくくった。



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