これからは地方で戦う方が、可能性がある
INSTINCTOYのフィギュアはデザインやインパクトもそうですが、造形や塗装のことを考え品質にこだわるため生産個数を制限しています。少ロットで、確実に欲しい人にだけ届くように。それは品質だけではなく、お客様・ファンとの関係性を大事にしているからと、大久保さん。そこで徹底的にこだわって勝負するための拠点を、大久保さんの地元である滋賀の長浜に置いた理由をお聞きしました。
—地元・滋賀の長浜を拠点にした理由は何ですか?
大久保:世界のマーケットを視野に勝負するならば、ネット環境さえ整っていれば本拠地はどこだって構いません。滋賀を拠点にした理由は、自分の生まれ故郷であること。オフィスやスタジオのための土地代が安いこと。そして、渋滞がなくスムーズに移動できること。このことは本当に魅力です。そのような滋賀に拠点を置き、世界中どこでも仕事ができる環境作りを心がけました。まず、一般的な会社のあり方を全て忘れることからスタート。会社への出勤と通勤をなくし、フレキシブルタイム制を導入。社員が希望すれば、決められた出勤時刻さえありません。これにより、時差も関係なくなるのでINSTINCTOYの仕事は世界中どこにいて可能となりました。世界中から広く能力の高い人材を探し集め、適材適所で能力に合わせた仕事をしてもらっています。スタッフたちは基本、日本語・英語・中国語を話せるので、INSTINCTOYでは世界中のお客様とも密なコミュニケーションができるようになりました。
—滋賀を拠点にするメリットは何かありますか?
大久保:仕事をする上での一番のメリットは土地の広さ。小さな会社ですと、東京で土地を購入して理想的なスペースを確保した上で建物を建てるのは非常に困難です。しかし、地方なら実現可能になることが大きなメリットだと思います。東京でオフィスを構えていた時は広さも含め、不便に感じていました。滋賀に移転してからは100坪を超える土地を購入し、理想的なオフィスを建設。また、昨年には作業効率を考え、デザインにもこだわったスタジオも完成。デザイン作業はもちろん、自社製品の検品やパッキング、出荷作業なども格段に作業効率が上がりましたね。今後は必要に応じて、国内に自社製品のための製造工場の建設も視野に入れています。これらのことを実現できるのも、地方にいる強メリットだと実感しています。
—なるほど。地方にはまだまだ可能性があるってことですね!今日はありがとうございました。
取材を終えて〜田中が今日から実践すること
プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。今の時代、どちらかとプロダクトアウトという考え方は古いとされているのではないでしょうか。しかし結局、曖昧な「マーケット」で必要とされるものを作るよりも、自分の半径3mの中にかたちにするべきものがあるのでは?と田中は思っています。そのことを実行されている方と出会うと、自分もそのようにがんばらねばと鼻息荒くなりました。関西で戦って、勝てる可能性はいろいろありそうです!
著者プロフィール
田中裕一(かたちラボ・コピーライター)
広告制作プロダクション勤務を経て、2012年に大阪・兵庫など関西を中心に展開するクリエイティブカンパニー「かたちラボ」を設立。関西のクリエイターと協働して、企業ブランディングやCI構築、事業計画立案、紙ものやWEBサイトなどの制作を行う。
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