高速化する行動についていけない企業の悩み
「高速化するスタンプラリー消費」に疲弊しているのは一般消費者だけではありません。そのトレンドの対象もまた、疲弊しているように思います。
膨大な予算と時間をかけてつくった「インスタ映え」で話題になっても、ごく一瞬の最大瞬間風速を感じるだけで終わってしまう。Twitterで話題になった商品を広告でさらにパワープッシュしようとした頃にはもう、トレンドが移り変わってしまっている。そんな話を聞いたことがあります。
高速化するトレンドの流れに対応が追いつかない。そして何より、ものすごいスピードで駆け回るトレンドの中に生きる彼女たちは、一度押したスタンプを二度と押そうとはしない。
先日、インスタ映えすると話題のカフェをテレビで見かけたので、その日のうちに友人を誘ったら、「私もうそのカフェInstagramに載せちゃったよ〜投稿見たでしょ?」と言われてしまいました。
スタンプラリーを促す「とりあえず消費」サービスの躍進
「トレンドに乗りたい!」「私も試してみたい!」というミーハー心は、フリマアプリにエンパワーメントされている、と私は思っています。
例えば過去、「アプリマーケティング研究所」で「メルカリで中古コスメを買うのは『お試ししたい』から。女子大生がスマホでコスメを買う経路と、ユーチューバーへの共感が『自分との共通点』で決まる話。」という記事を見ました。
若い子たちは、メディアで見た商品を「とりあえず試してみたい」という欲求をもとに「とりあえず消費」しようとします。彼女たちにとってフリマアプリでの購入とは、「お試し」なのです。
そしてまた、私もその「とりあえず消費」を数多くしている女子の一人。洋服も定番アイテムはとりあえずメルカリかラクマで購入してみる。サイズとかが合わなくてもまあ安く手に入れられたのであまり気にしない。最悪またフリマアプリ売ってしまえばいいし、と思っています。
気になるものは「とりあえず」安く手に入れて、良い物だけ取り入れてだめな場合は売っちゃう、という消費がわたしたちの間で成り立っているのです。
さらに、「とりあえず消費」の加速するサービスはどんどん増えています。
洋服が借り放題の「メチャカリ」や楽天の「RAXY」など、月額料金を支払えば定期的に商品を送付してくれるサブスクリプションサービスや、家に届いた洋服の中から自分が気に入ったものだけを購入できる(その他は返却する)ZOZOTOWNの「ZOZOおまかせ定期便」など、「購入」の定義をアップデートするようなサービスが次々と登場しているのです。
サブスクリプションサービスもおまかせ定期便も、他人がキュレーションしてくれたものを一旦自分で受取り、気に入ったものだけを日常生活で利用することができます。私たちはそれらのサービスによって、とりあえず商品に触れ、自分にあうものなのか試すことができるのです。