前田考歩
ルーティンではない仕事はすべてプロジェクトである
広告ビジネス、メディア、マーケティング、販売促進、クリエイティブ、広報。
アドタイ読者のみなさんは概ねこれらの業務に関わっておられる方々だと思います。そして、様々なビジネスの中でも、比較的早く新しいテクノロジーを利用したり、先進的な取り組みや情報をキャッチアップしたり、その影響を受ける環境にいらっしゃることでしょう。
情報技術が加速度的に進化し、参入障壁が下がり、次々とイノベーションが生まれてくる中、既存のビジネスモデルや商習慣がこれまで考えられなかったスピードで廃れています。
そんな時代に、新しいテクノロジーを使って製品を開発し、新しいメディアを使ったマーケティング戦略を実行する。ヒット商品が生まれる陰で、ぜんぜん売れずに提供を中止するサービスもある。このサイクルはますます短くなっています。
みなさんの仕事も、だんだんとやること、手順が決まった「ルーティンワーク」よりも、まだやったことのない、未知の要素を含む「プロジェクト」的な仕事が増えてきてはいないでしょうか。
ネイティブアドを動画で提供するための、動画内製化。カスタマーサポートをカスタマーサクセスに変える新しいコンサルティングサービス企画。コンテンツマーケティング支援のために社内編集者を養成するスクール事業。ニッチでも一定のニーズがある(と思っている)のバーティカルメディアの運営。みなさんが関わったプロジェクトは、当初の計画通りに進んだでしょうか?目指していた目標を果たせたでしょうか?
ある日突然、上司からプロジェクトを任され、ノウハウや知識がないためどう進めればいいかわからない。何から取り組めばいいかわからない。できるだけ事例や支援ツールなどの情報を収集して分析したい。社内のアイデアコンテストから選ばれ、プロジェクトを始めたけれど、想定外の出来事に遭遇し、計画通りに進まなくなりそうなため、どのように対応すべきか迷っている。複数の部署、社外メンバーで構成するプロジェクトチームのコミュニケーションが取りづらい。言い出しっぺの社長とプロジェクトマネージャーの言っていることとやっていることが食い違っている。与えられた予算と目標を達成するために必要なコストの隔たりが大きい。スケジュールも厳しすぎる・・・。
プロジェクトには計画の遅れや、想定外が当たり前ですが、本書は、このようなプロジェクトを、いかに進めていくかということをテーマに、様々な分野で日々プロジェクトに取り組む、ビジネスの現場にいる方々に向けて執筆したものです。
「なぜプロジェクトは、予定通りに進まないのか?」
「予定通りに進める方法はないのか?」
「予定通りに進まないのなら、それをふまえた進め方があるのではないか?」
筆者らは、業界も対象も規模も異なる多くのプロジェクトを経験してきた中で、こうした問題意識を抱えてきました。その方法として、プロジェクトという姿形のないものを工学的なアプローチで解明し、より確実なプロジェクト推進方法を確立することを目指し、「プロジェクト工学」と、それを応用した「プロジェクト・エディティング」というコンセプトを提唱しています。