「72時間ホンネテレビ」の企画の裏側(ゲスト:キングコング西野亮廣)【後編】

【前回コラム】「文字が通貨になるサービス「レターポット」とは?(ゲスト:キングコング西野亮廣)【中編】」はこちら

今回のゲストは、3週連続となるキングコングの西野亮廣さん。人気タレントと認知タレントの違いの話から、権八さんが携わった「72時間ホンネテレビ」の裏話が……。

今回の登場人物紹介

左から、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、西野亮廣。

※本記事は2月15日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

ディズニーを倒すポイントは「生活動線に入ること」である!?

権八:前回のゲスト、SHOWROOM前田さんは小さいときからの生い立ちがあって、平等、公平、チャンスが与えられる社会にしたいと言ってましたよね。西野くんがやっていることも、延長線にあるのは世直しというとアレだけど、いい方向に世界を持っていきたいという感じがするんだけど、何なの!? 君、、、何なの(笑)?

西野:コンプレックスや原動力は何なのか?ということですよね。何の反動でそれをやってるんだと。

権八:いや、モチベーションというか。反動でなくてもいいんだけど、何を目指しているのか。素晴らしいなと思ってて。

西野:僕はとにかく面白いほうがいいです。楽しくて面白いのが一番好きで。でも、ウォルトディズニー倒したい。

権八:結局そこか(笑)!

西野:一番面白くなりたいはあるんですよ。その欲は結構強くて。単純にディズニーを倒そうと思ったときに、倒すって別に恨みがあるわけじゃないですよ。エンターテインメントでディズニーが一番好きで、僕もエンタメの世界に入ったので、ちゃんと挑戦したいというのがあって。

彼らを超えようと思ったら、強大な無敵艦隊なので方法は彼らの弱点を突くしかないと思ったんです。ディズニーは弱点がなくて全部10点、10点と、ほぼ10点ですが、何か所かだけ9点のところがあって、そこをいくしかないなと。では9点の1つは何かというと、「夢の国」ですね。

現実と乖離しているので、ディズニーはディズニーランドや映画館などに会いに行かないといけないじゃないですか。そうすると、僕たちは生活動線にディズニーがないので、ディズニーに触れずに終わってしまう1日がありますよね。

澤本:あります。

西野:Googleだったら生活動線に入ってきてますよね。むしろGoogleに触れないということがなかなか難しくなっていて。だから、ディズニーを超えようと思ったら、ニシニーランドをつくるのではなくて。

権八:言いにくいね、まず(笑)

西野:そうなんです、その時点で負けなんです(笑)。そうではなく、生活動線に自分の作品を絡めていくしかないと思うんです。みなさんが絶対使うものに自分の作品を絡めて、自分の作品に触れざるをえない世界をつくるしかないと。そのとき、みんなが使うものって何だろうと思ったら、お金だったんです。

お金になった瞬間に急にいける気がして。お金をつくってしまって、そのお金と自分の作品を絡めてしまったら、ちょっとあるかもなと。来年、映画「えんとつ町のプペル」が出るんですけど、ざっくり設定を言うと、えんとつ町は煙突だらけ、そこかしこから煙があがり、頭の上は黒い煙でもくもく、えんとつ町に住む人は青い空を知りやしない、輝く星を知りやしない、という。

そういう閉鎖空間の物語です。えんとつ町は三方を4千メートルの崖で囲まれていて、一方は海なんですけど、絵本では「海に出ることが禁止されている」と一行で終わっていて、なぜ禁止されてるかという説明はしてないんですね。もう1つ、なぜこんな辺鄙なところに街をつくったのか、という説明もしてないんです。

それを全部、映画『えんとつ町のプペル』でバラします。もともと、えんとつ町ができる200年ぐらい前に貧しい街があって、ここで盗みや殺しが日常茶飯事になって、荒れちゃってるんですよ。それに待ったをかけた人がいるんですけど、「いつの間にかなんでお金に心まで支配されてるんだ、主導権まで握られて、これおかしいじゃないか」と言い出して。それは「お金が腐らないのが問題である」と。

澤本:なるほど。

西野:肉や野菜は腐っていくけど、お金だけは腐らない。だから肉、魚、野菜をもってる人よりもお金をもってる人のほうが力をもっちゃうと。そこで「腐る通貨」、4カ月で腐る通貨を考えたんです。でも、それを良しとしなかったのが中央銀行側の人ですね。この人達はお金を貯めることで生きているので、そんなお金が出回ってしまったら具合が悪いということで潰しにかかるわけです。潰しにかかって、そのお金をやめろと言って、そのお金を発案した人を処刑しちゃうんです。

西野:町の人達は泣いて。良かったものが潰されてしまって、街はどんどん荒れてきてるし。それをおかしいぞと言ったのが、提案した人の息子さんと、同志の人達で、このお金をもう一回復活させようと。ただ、ここで復活させてしまうともう一度、中央銀行の人が来て潰すので、中央銀行の人達が知らない、見つからないような土地を探そうと。それでえんとつ町ができあがり、そこで使われてる通貨がレターなんです。

中村:繋がったぞ!

西野:だから映画公開までにレターをみんなに使っておいてもらって、それで映画を見たときに「自分達が使ってるやつじゃん」と。だから、みなさんが使っているレターは使わなかったら4カ月で腐るんです。使ったら、またそこから4カ月寿命があるんですけど、使わなかったら腐るという。だから映画のレターと同じ設計で。

澤本:なるほどね、それは面白いね。

西野:だから映画で使われる通貨を先走りでみなさんに使っていただいているという。

中村:レターポットはサービスのように見えるけど、アートでもあり、じつはバーチャルとリアルが繋がっている、というところが2019年公開予定の映画で見えるかもしれないと。

西野:それをやりたいんですよね。前田さんが出られて、そのときにスナックの話があったと思うんですけど、スナックも映画の中に出てくるやつで。全部、現実世界とファンタジーの境界線を曖昧にして、気が付いたらファンタジーの場所にいるな、アイテムを使ってるな、そういう風になると面白いと思って。それを今やってますね。

次ページ 「「人に広めてもらう」のが一番コスパがいい」へ続く

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