グローバルFMCG企業の「能動的に再現性を持って、ブランドを構築する」力
「理論の体系」ではなく「実務の体系」であることが重要です。例えば、糖尿病というのは、膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞の働きに問題がある場合に発症するそうです。これは基礎医学の話で、人類が病気と戦っていく上で必要不可欠な知識ですが、これだけでは実際に糖尿病を罹患した患者さんをケアすることはできません。そのためには、どう診断し、どう治療するか、という治療の実務体系=臨床医学が必要です。
マーケティング・ブランディングの世界でも同じことが言えます。書籍を読んだり、講演を聞いたりして、その内容が腹落ちしたとしても、次の日からの業務は何も変わらない、ということがありませんか?それは、腹落ちしたのが理論の体系であり、必ずしも実務の体系に翻訳されたものではないからです。あるいは、それが実務の話であっても、「私は乾布摩擦で糖尿病を治した」という体験談のように、体系がなく個別具体的な状況においてのみ妥当する「事例」に過ぎないからです。
結果としてこんなブランドができました、というのではなく、戦略として能動的に、世界中のマーケットで再現性を持ってブランドを構築していくために真に必要とされているのは、マーケティング2.0だったり3.0だったりという「基礎理論」を実務に翻訳する能力、それらを実務の体系として再構築するスキルなのです。