生き方と働き方の物語
話を本題に戻します。
「HUGっと!プリキュア」。物語を通じて描かれるのは生き方と働き方です。
主人公はひょんなことから子育てと仕事(学生とヒーロー)を両立することになります。登場人物は全員何らかの形で働いている人たちが描かれます。敵の組織でさえ「会社」で、プリキュアを倒すプロジェクトを毎回社内で上司の決済を取ってから進めます。失敗すれば左遷が待っています。
エンディング曲「HUGっと!未来☆ドリーマー」では花屋、パイロット、デザイナー、社長、トラベラーなど無限の生き方の可能性が提示されます。
色んな道へのトビラ 開いてみたら 夢見る ドリーミーなハート描いて 飛び出そうよグッとくる 好きのチカラ信じて いつかぎゅっと 抱きしめたくなるんだ そんな未来をHUGっとね!(歌詞抜粋)
なんでもできる、なんでもなれる。
プリキュアはそうメッセージします。物語の中では登場人物が人生で失敗したり挫折したりしますが、失敗してもいい、何度でもやり直せばいい。行き先は無限にある。と訴えます。
驚くべきはオシマイダーを武力で制圧するのではなく、最終的にHUGして受容するのです。HUGされたオシマイダーは幸せそうな表情を浮かべて、「ヤメサセテモライマース」と言い残し、クライアス社を退社していくのです。
未来という市場をつくる
「HUGっと!プリキュア」は生き方と働き方を描くことを通じて子どもたちに主体的、創造的に生き抜く力の大切さを訴えます。
社会の中で活躍する資質と能力を育成することで、この国の未来という大きな市場をつくりたいのではないでしょうか。
未来がなければマーケティングもへったくれもありません。
ともすると目先の売り方ばかりにとらわれてしまいがちですが、この国の未来につながるという広い視野を持つことが大切なのだということを、子ども番組であるプリキュアが教えてくれました。
私自身は企画に煮詰まるとすぐに「オシマイダー」になってしまうんですけど。誰かプリキュアみたいにHUGしてくれないかな。はぁぎゅうっとね。