モデル地区「たまプラーザ駅北側地区」における6年の取り組みを追い、まちづくりの展望をまとめた書籍『次世代郊外まちづくり~産学公民によるまちのデザイン』(東急電鉄+宣伝会議 著)の発売を記念し、東急電鉄 都市創造本部(取材当時)の坂井田麻子氏に話を聞いた。
まちづくりの過程を「見える化」
—今回、「次世代郊外まちづくり」に関連した書籍を出版した理由を教えてください。
私たち東急電鉄は、横浜市と2012年4月に「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定を結び、翌年に基本構想を発表しました。たまプラーザ駅北側地区をモデル地区として、産・学・公・民が連携しながら、郊外住宅地の再生を目指すまちづくりに取り組んでいます。高齢化や若い世代の減少、地域インフラの老朽化やコミュニティの希薄化などの課題がある中で、「次世代郊外まちづくり」は先駆的な事例として多くの視察やヒアリング、取材の依頼をいただいております。
そんな「次世代郊外まちづくり」ですが、協定の締結から6年経った今、新たなフェーズに進んだと感じています。そこで今までの歩みを書籍という形にまとめて“見える化” し、さらに変化・発展させることにつなげたいと考えました。
また東急電鉄は、前身となる田園都市株式会社の時代から、田園調布、洗足などでの住宅地開発にはじまり、常にまちづくりを事業活動の中心に据えてきました。住宅を建てたら終わりではなく、そこに暮らす人たちのライフスタイル、豊かさ、そして未来に思いを馳せながらまちづくりに取り組むという田園都市株式会社のDNAが、東急電鉄にも脈々と受け継がれています。そのDNAを象徴するといえるのが、たまプラーザ駅北側地区も含めた東急多摩田園都市の開発です。
今年は田園都市株式会社が設立されて、ちょうど100年の節目を迎えます。月日は流れても、私たちの根底には田園都市株式会社から受け継いできたDNAがあること。そして、「次世代郊外まちづくり」に関わるすべての方が大切にしてきたことを、本書を通して後世に伝えたいと思っています。
—どのような人にこの本を読んでもらいたいですか。
原稿をまとめていく中で、改めて「次世代郊外まちづくり」に関わる方々の多種多様さに気づかされました。地域の方から大学の先生まで、本当に多様で幅広い方たちが、ひとつのプロジェクトに長く携わっている。行政と企業と住民という、同じ方向は向いていたけれど、同じテーブルにつく機会の乏しかった方たちがパートナー関係を築けたことは、やはり貴重なことですし、こうした歴史の積み重ねこそが、これからのまちづくりには必要なことだと考えています。本書を読んで、私たちと一緒に未来を描きたい、思いを共有したいという方がひとりでも増えたらと思っています。
具体的には、今後の「次世代郊外まちづくり」における活動や事業に関心をお持ちの地域住民や企業、行政の方や、全国各地で同じような課題に取り組む方々です。本書が「同じ未来を志している仲間がここにもいる」ということの気づきにもなり、新しい郊外住宅地のまちづくりの一助となったら嬉しいです。
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