1社のエージェンシーに全てを任せられる時代は終わった — チーム編成こそ「創造的」に

フィー取引で発生する、クライアントが決めるべきこと

コミッションとは、クリエイティブ制作にかかった費用の(例えば)10%をエージェンシーの取り分として上乗せして請求しますよ、という契約形態ですが、フィーはコンサルタントや弁護士のように時間単価×稼働時間で請求額が決まります。

リテーナーとは、あらかじめ発生する作業の総数を予想して設定しておき、1年などの単位でまとめて発注しておくフィー制の変則形態です。こうすることで、広告主としてはエージェンシーの担当者のリソースを確保することができ(リソースに空きがないとは言わせない)、エージェンシーとしては一定期間の売上を担保することでチームを確実に維持することができる、というメリットがあります。

フィーの場合、役職やセクションごとに単価が設定されるわけですが、さらにリテーナーの場合は稼働時間を算出するにあたり、エージェンシーが「どこまではやってどこまではやらない」というSOW(スコープ・オブ・ワーク)をしっかりと設定しておく必要があります。

また、一度発注したら変更がきかないわけですから、モチベーションや有能なタレントのアサインメントをキープするためにインセンティブの設定なども考える必要があるかもしれません。

次ページ 「エージェンシーのチーム編成は、絶対にアウトソーシングできない仕事」へ続く

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井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)
井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
ヤフー 、ニュージーランド航空、ユニリーバでデジタルマーケティングの責任者を歴任し現職。advertimesコラムニスト。
ツイッター:@pianonoki
著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
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著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

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