いかに社会に貢献しているかが優秀な人材を引き付ける
面白いのは4番目の「好意度」、つまりどれだけ好かれているか、ことです。これは先ほどのビジョナリー資本と関係しています。社会からどう見られているかどうか、良い企業として認められているかというのは、やや伝統的なブランド価値のように思えますが、これが資本の調達や株価に影響することも間違いありません。
特に今やこの点においてテクノロジー企業は新しいスキャンダルに巻き込まれています。それはフェイクニュースやブランドセーフティなどの透明性にかかわる議論です。テクノロジーに関する不透明な中身だけでなく、ハラスメントなど企業内での不透明性についても今後は厳しくなるでしょう。そしてこの点においてギャロウェイ氏はウーバーやマイクロソフトが失敗していると指摘しています。
「好意度」は、社会に対する役割だけでなく、7つ目の「キャリア上昇」にもつながります。これはこれらの企業に入社したいというモチベーションを醸成し、これらの企業でキャリアを築くことが自身の社会的な評価につながる人材のエコシステムを意味しています。今後テクノロジー関連の人材の高騰は続くことが予想されますが、同時に大学や研究機関からの優秀な人材を定期的に採用できるような魅力を持ち続けることも重要です。Googleはそのような魅力を作り出すことに成功している企業体で、ただの検索エンジン屋ではありません。それは利益のほとんどを検索から得ていながら、新しいビジネスを創造する人材を常に供給できるシステムを作り上げているとも言えます。