100兆円企業になるための秘訣とは?Google、Facebook、Apple、Amazonの次の未来の企業を担う8つの要因

エコシステムを構築することでデータの経済圏を作り上げる

そしてTrillionドルのレベルの企業になるために必要な、8つの要因とののなかで、おそらくもっとも自分が重要だと思うのは、5番目の「垂直統合」です。テクノロジー企業が多くはプラットフォーマーと呼ばれるように、伝統的なブランド企業とは違って他社や人々にプラットフォームとして使われることによって、最大のネットワーク効果を引き出しているというのがこれまでの視点です。垂直統合というのはAppleに顕著なように、ハードウェアとソフトウェアのすべてのことをすべて自社でやり、それを自社のチャネルを中心に組み立てるという一世代前では「クローズド」とか「プロプライエタリ」と言われるシステムです。

しかしながらオープンの代表格のようなGoogleにおいても、最近はハードウェアメーカーを買収したり、Googleブランドのハードを売るようになってきました。垂直統合というのは、言い換えれば「エコシステム」や「サービスモデル」というように、自社が望む形の世界のあるべき姿のようなものです。

これらは特に中国のアリババグループが示しているように、デジタルによってすべての経済圏が括られる世界であり、単純なブランドにおける直営ビジネスとは違っています。デジタルに置き換えるなら、インターフェイスから、決済にいたるまで、生活のあらゆるタッチポイントにおいてスムースなブランド体験を提供できるというのがその真髄でしょう。

6番目の人工知能については今さら言う必要はないかもしれませんが、データをいかに活用するかということです。これは垂直統合とあいまって、エコシステムを持っていれば自然とそのデータをどんな局面でも得ることができて、しかもそれをユーザーに向けて最適化した形で活用できることを示しています。もちろんそれを動かすのが人工知能であるわけです。

最後に「所在地」というのは、本社の所在地のこと。これは主に7番のキャリア上昇にかかわることです。このあたりはカリフォルニア大学のエンリコ・モレッティ教授の『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』にもありますが、優秀な人材を確保するためには、単にサラリーや条件が良いだけでは駄目で、人材という資源が集まるネットワークの近くにオフィスがある必要があるということです。

このあたりはギャロウェイ氏の本のなかで具体的に彼がそれを助言したある企業のことが書かれていて自分が一番笑ったところなのですが、ここでは言えません。ぜひ皆さんもご自分で確かめてみてください。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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