ハリルホジッチ監督の解任から、プロジェクトマネージャーの採用、任命の教訓を得る

アギーレ監督解任後の、「新たな日本代表監督を招聘する」というプロジェクト。

2010年南アフリカW杯で、守備的戦術を貫きベスト16進出を果たした日本代表。続く2014年ブラジルW杯では、ザッケローニ監督のもと築きあげてきた、細かなパスを連動的につないで相手を崩すという “自分たちのサッカー”で挑みましたが、南米の強豪国コロンビア、引いて守るギリシャ、身体能力に勝るコートジボワール相手に打ち勝つことができず、1分2敗でグループステージ敗退を喫しました。

日本サッカー協会(以下JFA)は、当時の技術委員長・原実氏を中心に、 FIFAランク55位(2014年9月当時)のチームがベスト16の壁を越えていくためには、日本人の技術、持久力、勤勉性といた長所を生かしつつ、“勝負強さや、強い相手と戦った時にでも踏ん張れる、引き出しの多いチーム”づくり(2014年7月当時の技術委員長原博美氏のインタビューより)が必要であるとし、その条件に適う監督を招聘するプロジェクトがスタートします。その結果、6月からスタートした監督選びは翌月に早くも実を結び、ハビエル・アギーレ監督の招聘に成功します。

JFAは18年ロシアW杯までの目標を大きく4つのクールに区切ります。第1クールは「15年1月のアジアカップ優勝」。第2クールは「W杯2次予選で多くの選手を試しながら最終予選に進出」。第3クールは「アジア最終予選でチームを熟成」。第4クールが「本大会に向けて準備を進めながらマッチメークやキャンプで結果を残す」、としました。しかし、アギーレ監督は代表監督就任以前の試合で八百長を疑われ、2015年2月、就任約7カ月で契約解除となります。W杯二次予選はわずか4カ月後。このスクランブルな状況下、アギーレ監督の後任探し、すなわち新たな日本代表監督を招聘するというプロジェクトがスタートします。
この監督招聘プロジェクトを、当時ハリルホジッチ監督の招聘責任者であった、霜田正浩 前技術委員長のインタビューなどを元に、再現したのが下図になります。

ここで「プ譜」について簡単に説明しておきます。プ譜は、のプロジェクトにおける状況の変化や関係性を可視化ツールです。姿かたちのないプロジェクトを正確に記述することで、プロジェクトの問題を浮き彫りにする他、プロジェクトメンバーやステークホルダーと状況の変化や文脈を共有してコミュニケーション及び目標と施策のツジツマが合っているかを把握することができます。

上図では、本プロジェクトの目標を「新たな代表監督の招聘」とし、そのプロジェクトの成功判断基準である“勝利条件”を、「18年ロシアW杯で8強入りするチームをつくることができる」としました。プ譜では、この勝利条件を果たす上で、所与のリソースとなる“廟算8要素”を左枠に。勝利条件を果たすための細分化された“中間目的”。個々の中間目的を実現するための“施策”をゲーム木の要領でつないでいきます。今回は、監督の招聘プロジェクトということで、施策には監督になるための希望条件や資質を書いています。

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