【前回コラム】「アトリビューション分析の統合と拡張で、広告投資の総合的な意思決定が可能に」はこちら
コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。
テレビ広告といえば「最大のリーチメディア」として広告主のマーケティング活動を支えてきましたが、近年はインターネット広告や動画広告といった「デジタル領域」の成長の勢いに若干押されている感があります。
実際、リアルタイム視聴におけるHUTは年々減少傾向にありますが、2016年10月から東京エリアで正式な計測がスタートしたタイムシフト視聴の数字を鑑みると、テレビ媒体(テレビのコンテンツ)の力が落ちたわけではなく、生活者のメディアへの接触習慣が変わってきたことの方が大きな影響を与えていると考えられます。
そういった意味で、2018年4月から東京エリアで始まった「新取引指標」の導入は、より視聴実態に基づいた取引を可能にするという意味でも、テレビスポット広告の再価値化に向けた第一歩だと思います。
今後この「新取引指標」導入の動きは他エリアにも広がっていくことが予想されます。
その次に求められることとしては、更なるデータ装備と次世代テクノロジーとの連携です。今後、あらゆるメディアサービスがデジタル化していく未来を見据えると、これは避けては通れない道です。
広告主の皆様からも、テレビ広告の価値は認めてはいるものの、その半面、満足のいくデータが得られていない、そのため効果検証がしにくい、そのデータに基づくフレキシブルなバイイングに対応できていない、といった不満があるという言葉を頂いている実情もあります。
広告主のマーケティング活動は「世帯」から「個人」へ変化してきており、かつ広告展開したその先のコンバージョンまで成果を求められてきている中で、今後は、より精度の高い生活者データの集積と、そのデータと連携した新しいテクノロジーを駆使したメディアバイイングが、より重要になってきます。
今後は視聴ログデータや個人IDをはじめとした様々な生活者データを駆使することで、より緻密なメディアプラニング、メディアバイイングが可能になってくると思います。その時に、生活者へのタッチポイントとして一番距離の近い場所にあるのがテレビ広告であり、また広告主のマーケティング活動において成果を最大化するためにはテレビ広告が必要不可欠であるということを示し続けていくべく、引き続き、業界全体で取り組んでいく必要があると感じています。
テレビスポット&エリアビジネス局テレビスポット一部
網野信之
広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2018
博報堂DYグループ各社で長く使われてきた、メディアの広告ビジネスに携わる人のためのデータブック。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の出稿広告主ランキング、ネット広告の種類・効果指標、ターゲット別 メディア接触状況など、各種情報が詰まった「今すぐ使える」1冊。デジタル領域はページ数を増やし、昨年以上に内容を充実。今年は、メディア環境研究所所長が「情報のデジタル化から生活のデジタル化へ」と題して語ったインタビューも収録。