ビューアビリティだけでなく購買に結びつくインパクトまで可視化 — これからの広告効果測定

2014年のBlueKai買収を皮切りに、複数のアドテクノロジー企業を買収しながら機能を拡張してきた、オラクルのデータマーケティングプラットフォーム「Oracle Data Cloud(オラクルデータクラウド)」。直近では2017年4月に、デジタル広告効果測定およびアドベリフィケーション分野で成長著しいMoat(モート)を買収した。相次ぐ買収の狙いや、オラクルデータクラウドが目指すあり方、日本のデータマーケティングの近未来について、オラクルのロビン・オピエ氏とオラクルのMoatのジョナ・グッドハート氏に聞いた。


取材対象者
Oracle Vice President Data Science ロビン・オピエ氏
Moat CEO/共同創設者 ジョナ・グッドハート氏


—オラクルのデータマーケティング関連企業の買収は、2014年のBlueKaiに始まり、昨年のMoat(モート)で5社目となった。機能を次々と拡充している「Oracle Data Cloud(オラクルデータクラウド)」だが、相次ぐ買収の狙いとは。

ロビン:オラクルのデータマーケティング領域におけるビジネスの軌跡は、アドテクノロジー関連企業の買収の歴史と表現も過言ではない。

2014年2月にDMP企業・BlueKaiを買収したことを皮切りに、Datalogix(データロジックス)、AddThis(アドディス)、Crosswise(クロスワイズ)、そして最近はMoatと、デジタルマーケティング領域への積極的な投資を推進してきた。

購買履歴を含むオフラインデータと、オンラインのCookieデータを紐づけたオーディエンスデータを保有するDatalogix。1500万ものWebサイトにおけるユーザー動向を把握し、Cookieで情報を紐づけるツールを持つAddThis。CookieデータとID情報を紐づけることで、オンライン/オフラインにまたがる顧客行動・顧客態度変容を把握することができるCrosswise。これら複数企業の買収により、オラクルデータクラウドは、オンラインにおけるオーディエンスデータの最大のマーケットプレイスへと成長した。そしてオラクルデータクラウドを活用するクライアント企業は、デジタルマーケティングキャンペーンに際して最適なターゲットにリーチすることができようになったと自負している。

あらゆる市場が飽和し、企業間の競争が激化する中、他社と差別化を図る上で重要なファクターのひとつがデータだ。クライアント企業の競争力を高めるために、我々オラクルがデータ環境の整備に真剣に取り組んできたことがおわかりいただけるのではないだろうか。

—昨年4月に、Moatを買収した狙いは。

ロビン:データマーケティングのすべてのプロセスをトータルでサポートするためには、広告キャンペーンの効果を測定するための仕組みが必要だった。

そこで、広告効果測定およびアドベリフィケーション領域で急成長を遂げ、多くの巨大プラットフォーマーからもパートナーとして選ばれていたMoatがオラクルの一員となった。

ジョナ:消費者の情報接触チャネルが、新聞・テレビ・ラジオといった従来型メディアからデジタルへと移行する中、マーケターの間で注目されるようになったのが「ビューアビリティ」の問題だ。

デジタル広告への投資が増えれば増えるほど、マーケターにとっては「どれだけのリーチを確保できているのか」「そのなかでも、実際にターゲットが注意を払って見ているインプレッションはどれだけあるのか」が重要な問題となってくる。それらを把握するための精度の高い測定方法を持っているのが、我々Moatだ。

日本について言えば、2017年のデジタル広告出稿費は1兆3000億円を超えた。しかし、国内で出稿されているデジタル広告のうち、実に50%は実際にはスクリーン上に表示されておらず、ターゲットの目に触れていないという。日本企業だけに限って言っても、デジタル広告の効果を向上する余地は大きく、そこにはMoatが大いに貢献できると考えている。

ここで気をつけなければならないのは、スクリーン上に広告が表示されることと、実際の購買行動につながることとは別問題であるということだ。広告が表示されることはスタートにすぎず、目標ではない。デジタル広告の真の効果を把握するためには、その広告がどれだけターゲットに認識・理解され、記憶に残ったかを正確に知る必要があるのだ。

どのような企業でも、単にターゲットにリーチするだけでなく、ターゲットとのエンゲージメントを深めたいと考えている。お客さまとの関係を構築し、信頼を得た結果として、商品購入・サービス利用につながってほしいと望んでいる。

我々が提供するサービスの特徴のひとつに、ターゲットとのエンゲージメントを測るために必要な指標を提供しているということがある。ただ単に広告効果の測定結果をレポートするだけでなく、クライアントがオーディエンスを理解し、最適なターゲットにアプローチするためのサポートまで行っているのだ。

性別や年齢といったデモグラフィック情報にとどまらず、「紅茶が好きな人なのか、あるいはコーヒーが好きな人なのか」「トレンドのファッションを身に着けたい人なのか」「デジタルデバイスをよく使う人なのか」といった趣味嗜好・興味関心に至るまで、できる限りオーディエンスを深く理解する。

その上で、そうしたオーディエンスが各種デバイスで広告に接触した際に、ただ「見た」だけでなく注意を払ってもらえたのか、購買に結びつくようなインパクトを与えられたのか、というところまで含めた測定結果を提供している。

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