自分ゴト化してもらうため動画で“つながる楽しさ”を表現
インターネットでつながる瞬間の“WOW”を表現した動画シリーズで話題を集めたソネット。動画施策を実施した理由は、顧客獲得規模の拡大をしていくうえで、従来のコミュニケーション戦略に限界を感じていたためだと同社の渡邉絵梨香氏は振り返る。
「Web広告の出稿でもリスティングやリターゲティングなどのすぐに効果が出る施策を中心に行ってきましたが、お客さまが契約しようとしたタイミングでしか顧客獲得のチャンスがありませんでした。競合他社によるWebへの広告出稿も増えてきたため、より潜在期の顧客にも対象を広げる必要があるのではないかと模索していました」。
そこで、オプトの鈴木智之氏はソネットのブランド資産を生かすために、資産の可視化とその活用によるブランドの再構築が必要と考え、その中心となる手段として動画による訴求を提案した。モーメントが立つ前の普段の生活の中からブランドを想起してもらうことが重要と考え、自分ゴト化のフックとなりやすい動画を用いた。「購買時に検討されるブランドの集合を表す“想起集合”という考え方があるのですが、想起からさらに進んだ“考慮集合”に入るほど、よりモーメントに近づきます。“考慮集合”に入れば消費者の購入検討の選択肢に入っている状況になるので、見込み客の獲得にもつながります。より多くの人の“考慮集合”に入るために、ソネットにどのような強みや生かせるブランド資産があるかの調査から入りました」(鈴木氏)。
インターネットにつながることは当たり前の現代。今回の施策は、インターネットに親しんできた若年層もターゲットにしている。「ネットにつながる環境をプロバイドしているのがプロバイダーだとすると、想起の幅が広がるだろうと考えました。ネットにつながる価値について考え、『ネットにつながるって、こんなに素敵なんだ』と思われるよう、マンホールや窓、ピアノなど、ネットにつながっていないものに注目。動画の最後に『ソニーのネット ソネット』という言葉を入れたのは、ソニーグループのインターネットサービスであることを想起してもらう狙いがあります」(鈴木氏)。
また、動画施策は検証できることも魅力的だと話す渡邉氏。ブランディングを目的とした動画施策が初めてだったため、どのような効果が出るのか、設定したターゲットの反応を検証するため、マスではなくWeb動画を選択した。結果を分析すると、動画接触した消費者のブランド認知や価値そのものに対する理解度、純粋想起の高まりが見られ、Web動画は効果的という結果となった。一方で、これまでプロバイダーと契約したことがない消費者は、自分ゴト化が難しく、より自分ゴト化してもらうための一工夫が必要になるという課題も見つかった。
分析結果を踏まえ、「どのくらいの取り組みで効果が出るかわからないので、同じメッセージを継続して訴求することも重要と考えています」(渡邉氏)、「ソネットが純粋想起されるのはもちろん、新たに契約する方以外に、現在の会員の方にも訴求してソネットのポジションをより確立していけたら」(鈴木氏)と今後の展望を語った。
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