2018年はこの流れをさらに加速させ、日本の社会や産業を牽引すべく変わり続けます。
今、クリエイティブが必要とされていること。ACCができることは何か。
広告主、広告会社、制作会社とさまざまな視点と広い視野をお持ちの御三方に語っていただきました。
<参加者>
久保田和昌 氏
サントリーホールディングス 顧問
サン・アド 取締役会長
山口有希子 氏
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務
エンタープライズマーケティング本部 本部長
藤井 久 氏
ACC新事業検討委員会委員
博報堂 執行役員(クリエイティブ担当)
クリエイティブが産業に貢献できること
藤井:これまでACCの活動は、50年に渡ってCMの発展のために行われてきました。それは、企業のマーケティングからコミュニケーションまで、すべてテレビに負わせていたという時代背景があってのことです。メディア環境も消費者行動も変わった今、ACCがどう変わっていくべきなのか。昨年から、「クリエイティビティ」を軸に進化、変革していこうとシフトしてきました。
山口:時代の必然ですね。
久保田:アワードの名前も「ACC CM FESTIVAL」から「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」と変わりましたね。
藤井:どんな企業にもイノベーションが必要とされていて、そのイノベーションに必要な要素のうちの大きな一つに、クリエイティビティがあるわけです。ACCは広告主、放送局、広告会社、制作会社と4つの業種を包括した珍しい団体であり、クリエイティビティで日本の社会や産業に、今より幅広く寄与できる集合体ではないかと。
私は広告会社の人間ですが、今、業務が広告宣伝活動にとどまらない非常に幅の広いものになっています。テレビCMを最終コーナーだとすると、かなり手前の部分から関わる形でお話をいただく。
山口:ビジネスをどうつくるか、コミュニケーションをどうつくるかというところからですよね。コミュニケーションは以前であればテレビCMでカバーできたけれど、今はそれ以外の方法をつくらなくては届かない。世の中的に言われているのは、「どうやって顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)をつくるか」。CMもその一つですが、そのほかのところでも必要になっています。
久保田:コミュニケーション領域のスペシャリストに求められていることが、宣伝だけではなくもっと上流まで含められているんですよね。事業構造そのものに対してどうクリエイトするのか。そこにクリエイターの知見や発想がほしい。経験や共感といった最終アウトプットにつなげるためにはどうしたらいいのか、という全体像を示してほしいわけです。当社(サン・アド)は40%がサントリーの仕事で、そのほかが60%という割合でクライアントさんを持っています。
多くの企業で、ブランドの課題だけではなく企業の課題解決というところまで求めておられる。例えばM&Aで拡大するなど大きく事業構造が変わったりすると、自分たちは何なのかというのが見えにくくなるんですね。そこでインターナルマーケティングの話も多くいただきます。
そういった意味でも、以前のコミュニケーション、宣伝とは違う。コミュニケーションのスペシャリティが、得意先のブランド課題を解決するように、大きく言えば本当は、「日本」とか「世界」の潮流に対する課題解決まで視座をあげる必要が出てきています。僕はアワード名につけるのは「JAPAN」がいいと言っていたのですが(笑)、「TOKYO」が日本のハブになって世界に対して発信するという志であればと納得した経緯がありまして。課題というのはステージごとに違うでしょうが、求められていること、問われていることはそこまで広がっているという場合もあります。