【前回コラム】「テレビの敵か、味方か。ユーチューバーのカウンターマーケティング」はこちら
市場から退場したヒーローたち
5回にわたってヒーローたちのマーケティングにヒットの秘密を学んできましたが、テーマとして取り上げたのはいわばヒーロー界のメインストリーム。市場での競争に勝ち残ったエリートの皆さんです。
最終回にあたる今回は、大人の事情や市場の競争に破れやむなく一旦退場していった、愛すべきヒーローたちにスポットを当ててみたいと思います。
現代でも通用するような先見性のあるテーマ、オリジナリティ溢れたキャラや個性的すぎる敵など、あのなんともいえない味わいを理解するには、当時の子どもたちには早すぎたのかもしれません。
未だに鮮明に記憶に残っているくらいなので、当時はそれなりにヒットしていたはずですが、いつの間にか姿をくらましていました。彼らはなぜ時代のアイコンになれなかったのでしょうか。
トラウマレベルのおどろおどろしさ「変身忍者 嵐」1972-1973
「時代劇版仮面ライダー」という意気込みで二匹目のドジョウを狙いにいって、スベってしまった時代劇ヒーロー。
いざ蓋を開けてみたらヒーローというより和風怪奇ホラー。全国のキッズに消えることのないトラウマを植え付けました。
まず主人公の嵐の仮面がまるで般若。ギョロリとした「目玉」がイッちゃってて近寄りがたい。そういえば「目玉」のあるヒーロってあんまりいませんね。
あと何が怖いって敵。閲覧注意のグロ画像レベルのキャラだらけです。幹部の「骸骨丸」は顔の大半が頭蓋骨むき出しのスケルトン。「血車魔神斎」にいたっては和製イモータン・ジョー。
当然子ども受けはイマイチで、てこ入れのために敵を西洋妖怪にするのですが、時代劇の舞台に西洋の妖怪というチグハグ感がかえってアングラ度を増して、シリーズ後半はまるで昭和の見世物小屋的な怪奇フリークスショーの様相を呈していくのでした。アーメン。