「ビジュアルが強い共感を生み、人々を惹きつける」フェイスブック ジャパン社員が教えるInstagram広告の活用法

宣伝会議は4月11、12日の2日間にわたり東京国際フォーラムで「宣伝会議AdverTimes DAYS 2018」を開催。本フォーラムに登壇したフェイスブックジャパンの田野崎亮太氏は、昨今、日本でも利用者を急激に伸ばしているInstagramを企業がどのように活用することができるのかについて国内外の活用事例をもとに講演した。

人と人とをより近づける
ビジュアルを通じた体験の共有

田野崎氏自身もまた、Instagramを通じて体験を共有しているひとりだと話した。

「アドタイ・デイズ2018」に登壇したフェイスブックジャパン 執行役員 本部長の田野崎亮太氏は「ビジュアルが生み出す強い共感~ブランドの存在感を高めるInstagram広告活用法~」をテーマに、いま最も注目を集めるプラットフォームのひとつ、Instagramについて解説。企業がInstagramを活用する方法としては、企業やサービスの「公式アカウント」を設けるなどオウンドメディア的な活用ケースもあるが、本講演で田野崎氏がフォーカスしたのは近年、国内外で利用が増えているペイドメディアとしての活用法だ。Instagramというプラットフォームがブランディングなどの課題に対し、どのように企業のビジネス成長に貢献できるのかを説明した。

2017年には「インスタ映え」が「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」で年間大賞を受賞するなど、日本においても生活に浸透した重要なコミュニケーションツールとなっているInstagram。

田野崎氏は、Instagramは「体験を共有してつながりを深めることをミッションに掲げている。写真や動画などのビジュアルを通じて体験を共有できるプラットフォーム」だと説明。また、Instagramのコミュニティは現在拡大を続けており、日本における月間アクティブアカウント数は2017年10月時点で2000万を超えているとも話した。まさに「ビジュアルが強い共感」を生み、共感が多くの生活者を惹きつけていることを物語る数字だ。

それでは、Instagramを企業の広告・マーケティングに活用して成果を上げるには、どのようなことがポイントになるのか。今回の田野崎氏の講演では成功事例を基にした、具体的な活用法が紹介された。

まずInstagramの広告ソリューションには大きく分けて「フィード広告」と「ストーリーズ広告」の2種類が存在する。いずれもビジュアルを通じてブランドメッセージを消費者に強く訴求することが可能で、ダイレクトレスポンス目的やブランディング目的など、いずれも活用事例があるという。

「フィード広告」は、友人や企業の投稿が流れるフィードの合間に挿入される広告だが、田野崎氏が注目の広告掲載面として紹介したのが、昨年初めにリリースされた広告プロダクト「ストーリーズ広告」だ。インスタグラム ストーリーズとは、近年人気の機能のことで、従来のフィード投稿とは異なり、投稿した写真や動画が24時間経過すると消えるという特徴を持っている。ストーリーズ広告は、これらの投稿の合間に挟まれる全画面の広告で、田野崎氏は「より没入感のある形でブランド認知やブランドの体験を共有していくことが可能」と語る。さらに、ストーリーズ広告は画面を上部にスワイプするとアプリインストール画面に遷移するなど、フィード広告以上に直感的な導線設計がされているほか、Instagram上の専用ランディングページへと誘導できるキャンバスなど、フォーマットも充実している。

こうしたビジュアルを通じたコミュニケーションが、たとえばブランディングにおいては広告想起の上昇や認知の獲得に、ダイレクトレスポンスではアプリインストールやCVの増加に効果があるというデータも示された。情報が溢れかえり、広告が生活者の目に留まることや記憶に残ることが難しくなった昨今、Instagram広告は最も効果的な広告のひとつと言えそうだ。

接触後1カ月の購入喚起数がテレビCMを上回る結果に

実際に展開された「ビッグショット」のInstagram広告。

具体的には、どのようにブランディングやダイレクトレスポンスに効果を発揮しているのだろうか。田野崎氏はブランディングの成功事例として、日本ロレアルのブランドのひとつ、メイベリンの商品「ビッグショット」の事例を紹介。F1層にアプローチするためにテレビCMとInstagram広告を併用したキャンペーンを行い、テレビと比べた時のリーチ効果を比較したのだという。

結果として、ターゲットであったF1層においては、1リーチあたりのコストをテレビとInstagramで比較したとき、Instagramのほうが86%安くリーチすることができただけでなく、ブランドの紹介意向や、広告に接触した人のうち1カ月以内に購入に結び付いた結果に関してもテレビを上回ったと話した。この結果を受けて、田野崎氏は他メディアと比べてInstagram広告が購入意向の上昇といった「ファネルの下のほうに効果が高い」理由を探るため、「興味を持った段階」「情報を調べた段階」「実際に効果があった段階」というカスタマージャーニーごとにユーザーの声を聞いたという。その結果、Instagramが他メディアと比べて情報を検索したりすることに有効なソースという意見が得られ、これが深い部分で購入意向を動かすことに繋がったのでは、と考察した。

画面を上部にスワイプすることで直接、アプリのインストール画面へと遷移できる。

ダイレクトレスポンスの成功事例としては、名刺管理アプリ「Wantedly People」の事例を紹介。もともとフィード広告だけでアプリのインストールを促進していた同サービスだったが、フィード広告に加え、上にスワイプをすることで直接アプリのインストール画面へと遷移可能なストーリーズ広告を新たに展開した。ストーリーズ広告を経由したインストールが加わったことで、結果的にフィード広告単体での運用に比べてインストール単価(1インストールあたりのコスト)を抑えることができたと話した。

このように田野崎氏はInstagram広告がブランディングにもダイレクトレスポンスにも効果的であることを、事例を踏まえながら説明してきたが、これらの事例には共通したクリエイティブのティップス(コツ)が4つあると話す。その中で特に重要なのが「シンプルで具体的にワン・メッセージを表現していること」「機能的価値などのベネフィットを明示していること」の2つ。その上で「メッセージとビジュアルに一貫性があること」、つまりベネフィットを伝えられるビジュアルになっていること。加えて、ストーリーズ広告の場合には「CTA(コール・トゥ・アクション)への誘導」、行動喚起が分かりやすく表現されているかということが非常に大切だという。「こういったティップスを抑えながら、ぜひ皆さまのキャンペーンにインスタグラム広告を生かしていっていただきたい」と田野崎氏が言う通り、活用の際にはこれらのティップスに注意したい。

最後に、月刊『ブレーン』との連携プロジェクトについて触れた。詳細は『ブレーン』7月号で発表されるが、「Instagram上で展開される良質な広告クリエイティブを発掘し、アワードを設けることでベストプラクティスを世の中に発信していきたい」と田野崎氏はそのねらいを語る。どのようなビジュアルを有するクリエイティブが強い共感を生むのか、というひとつの指針ともなるのではないだろうか。

フェイスブックジャパン 執行役員 本部長 田野崎亮太 氏

ストーリーズ広告を含め、数々の新しい広告ソリューションを生み出し続けているInstagram。活用する企業の業種なども拡がりを見せているという。成功事例から感じられる通り、ビジュアルを通じた強い共感は間違いなく時代に即した広告のひとつと言えるではないだろうか。そんな革新を続けるプラットフォームで「皆様がたと一緒に新たな成功事例をつくっていければ」と田野崎氏は今後の意気込みを語った。

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