すべてのマーケティングがサブスクリプション型に!?
続いて、筆者がマーケティングの変化と動画広告の効果検証に関してプレゼンテーションを行った。FMCG(Fast Moving Consumer Goodsいわゆる日用消費財)はもともと店頭で頻繁にブランド選択が行われるジャンルであり、それに応じたブランディングや広告活動が行われていた。その焦点はいかに店頭などで同一カテゴリーの商品の中から選んでもらうかであり、あるいは店頭での良い陳列場所、面積を獲得することにあったといえる。そして消費者は比較的短期間のうちに購入の選択を繰り返すことになる。
しかし、最近その傾向も徐々に変化しつつある。例えばAmazon のDashボタンを持っている人は自宅でその商品がなくなりそうになった時に再注文するが、その間にブランドスイッチは起こりにくい。さらに最近はFMCGにても定期購入(サブスクリプション)を勧められる場合が多く見られる。その場合は定期的に送られて来るために、特定ブランドを購入するという判断が長く続くようになる。この変化はマーケティング視点で非常に大きな意味を持つと筆者は考える。
サブスクリプションになるとマーケティングはどうなるのか。まずは1回の購買決定で得られる収益が大きくなるために、獲得にかけられる単価が上がるのである。また、ブランドを継続的に利用してもらうためにはよりインパクトの大きい方法で消費者をブランドに向けることが必要である。そこで動画、さらにはキャプティブな空間で捕まえられるシネアドなどが有効に作用すると考えられる。皆さんも定期購入を促す方法としてテレビショッピングなどを見かけるのではないだろうか?
次ページ 「動画の視聴“質”や“効果”を計測する方法が進化」へ続く
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
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