すべてのマーケティングがサブスクリプション化する?~マーケティング協会のイベントで感じたこと~

動画の活用を含むIMCを実施している資生堂の事例

最後に登壇した資生堂ジャパンの小出誠氏による取り組みを紹介したい。下の図を見ていただきたい。メディアの役割は、2000年代のPC時代と現代のスマホ時代では大きく変わっているという。PC時代の認知獲得はテレビ・新聞・雑誌がメインであったものが現在ではテレビとデジタルがメインになってきて、他のメディアは部分的な役割にとどまっている。興味に関してはすべてのメディアを活用しているがPC時代は入っていなかった「デジタル」が入ってきている。理解に関してはスマホ時代になって従来の店頭・雑誌・デジタルに部分的にテレビが加わり、トライアルは店頭と雑誌から店頭とデジタルに移り変わっている。また特にシネアドは、最近はテレビで捕まえにくい若者に認知させる方法として注目しているということであった。

さらに小出氏は流通の商談に活用するために、テレビとデジタルの共通指標の必要性を提唱した(下図参照)。民放公式テレビポータル”TVer”やサブスクリプション型動画配信サービス”SVOD”(Subscription Video on Demand)の普及やデジタルの進化を背景に、メーカー側ではターゲット顧客に訴求する最適なプランをつくっているにも関わらず、デジタル施策との共通指標がないために流通との間で認識のズレが生じてしまっているというのだ。日本アドバタイザーズ協会(JAA)のデジタルメディア委員長でもある小出氏は「これはJAAに加盟する消費財メーカー共通のテーマである」と述べている。店舗側にとっても、最適なマーチャンダイジングを行う上で重要なことであるはず。早期の認識の共通化が望まれる。

 
コラムとしてもかなり長く多岐にわたる内容になってしまったのであるが、まだここでは書ききれないほどの示唆があったがそれは別の機会に委ねたい。

1 2 3 4
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

江端 浩人(事業構想大学院大学教授)

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。

日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。

日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ