演じる役の人物の「年表」を必ず作っている(ゲスト:松岡茉優)【前編】

演技を見て「明日も生きよう」と思ってもらいたい

澤本:これは松岡茉優のためにつくられた映画としか言えない。この女子が松岡さんではないかと思えるほどハマリ役なの。恐らく監督も松岡さんをイメージして脚本を書いて直してると思うし、これは松岡さんじゃないとダメだなというほどのはまりっぷりで。

権八:ご本人的には原作を読んで、これは自分だなという感じはあったんですか?

松岡:撮り終わって人に言われて気が付きました。私は全く違う人と思ってやっていたのですが、「よく見るあなただったよ」と。特に親友の伊藤沙莉はあの状態の私をよく見てるそうで、「あれ昨日見たよ」って言われました。

澤本:これは久々に面白いぞと思って見ましたよ。

松岡:うれしい。

権八:ご自身は、映画は何が好きなんですか?

松岡:邦画は『ラヂオの時間』です。

澤本:あれは素晴らしいですね。

松岡:洋画は『トゥルーマン・ショー』です。

権八:ちなみに、なぜですか?

澤本:でも、『トゥルーマン・ショー』も『ラヂオの時間』も、両方とも仕掛けじゃない。

松岡:おかしみというんですかね。ふわー倒されてたー、あーそうだったんだーって映画の中で思えるのも、ギュッと小さく遊園地を見ているような気分になるし。スノードームのような。私はお仕事していて、泣いてほしい、感動してほしいとあまり思わなくて、笑ってほしいなと思うから。明日生きるのがちょっとだけでも、明日も生きてみるかと思えるような作品をつくりたいと思って、お仕事をしてるから。

権八:素晴らしい。

松岡:だからあの2つはそんな映画ですよね。

澤本:そのへんだけが僕らとの共通点なのね。僕らもとりあえず人に笑ってもらってナンボという気持ちで・・・権八は違うんだな。

権八:いえ、グッと、ホロッと来てほしいなと思うこともあるっちゃあるわけですよ。

松岡:もちろん、それが明日を生きように繋がれば。私は、ただ悲しい、ただ怖いというのがあまり好きじゃなくて、明日も生きるかと思ってほしい。

権八:そんな風に言ってくださる人、いいですね。この子いいよね。

中村:わかるわかる(笑)。何の話かわからないけど、この子いいなって。

澤本:困るのは、松岡さんと話してると全部そうなっていくのよ。この子、いいよねってなって、しゃべった結果、楽しかったって帰るじゃない。とてもいい気持ちを持って帰るんだよね。

松岡:うれしい。生きててよかったです。

澤本:ほら、既に持ち上げられてるじゃない(笑)。作品で言うと、3月に出られる三谷さんの舞台『江戸は燃えているか』。

松岡:ラヂオの時間、真田丸からの。今もやってるんですよね?

松岡:主演が中村獅童さんで、松岡昌宏さんと。三谷さん曰く、新橋演舞場史上、最大に笑える江戸コメディをつくろうと。三谷さんは三谷ファミリーというか、私も高校生のときから、『ラヂオの時間』を見てるときから憧れてたあのファミリー感ってあると思うんですけど、今回、舞台をご一緒したことがあるのは松岡昌宏さんのみという、三谷さんにはなかなか珍しいキャスティングなので、ちょっと新しいものがあるのではないかと思います。

澤本:三谷さんは舞台いっぱいやってるけど、これは時代劇というか、時代劇設定なんだ?

次ページ 「演じる役の年表を必ず作るようにしている」へ続く

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