全日本広告連盟(全広連)が主催する「第66回全日本広告連盟秋田大会」が16日、秋田市の秋田県民会館で開かれ、全国の広告会社や新聞社、放送局の幹部ら約1200人が参加した。
広告界の発展に貢献した個人や団体を顕彰する「全広連日本宣伝賞」の贈賞が行われ、受賞者がそれぞれ壇上で喜びを表した。広告主対象の「松下賞」を受賞したKDDIの田中孝司代表取締役会長は、「『三太郎』シリーズを始めたのは、会社のことを好きになってもらうため。お客さまは商品については3キャリアどれも同じと考えているので、商品訴求からブランド訴求に切り替えた」とコメント。
「正力賞」を受賞した作詞家・プロデューサーの秋元康氏は、現在携わっているテレビ番組の企画を例に挙げ、「広告もコンテンツも、信ぴょう性やリアリティが求められる時代」と指摘した。広告業関係者が対象の「吉田賞」は鏡明氏(ドリル エグゼクティブ・アドバイザー)、クリエイター対象の「山名賞」はクリエイティブディレクターの佐々木宏氏(シンガタ)が受賞した。
「広告の未来、地域の未来」と題したパネルディスカッションでは、秋田銀行の新谷明弘頭取、KDDIの田中孝司会長、電通の山本敏博社長、ヤフーの宮澤弦常務執行役員が登壇し、事業構想大学院大学学長/宣伝会議取締役の田中里沙がモデレーターを務めた。
電通の山本社長は、環境変化が激しいからこそ「対象物の社会的評価・価値をよい方向に変化させること」という広告の本質的な機能を見失わないようにしたいと前置きしたうえで、「方法論は変えていかないといけない。今日うまくいっていることは捨てる覚悟が必要。特に重要なのはデータアナリティクス、マーケティングテクノロジー、AIだと考えている」と述べた。
ヤフーの宮澤氏は、「ヤフー・ジャパンのこれまでの22年間は、それまでインターネット上になかったものをインターネット化してきた歴史といえる。ここ数年はスマホシフトを推進してきた。今後注力するのはショッピングや決済に力を入れる」と説明。「こうした取り組みで蓄積したデータをマーケティングに活用してもらいたい」と強調した。
秋田銀行の新谷頭取は、「人口減少のスピードが加速する中で、地域の経済を衰退させないためには労働生産性を引き上げて1人当たりの県民所得を上げることが必要」と述べ、クラウドファンディングや廃校を活用した企業誘致などの取り組みを紹介。「販路開拓の支援なども含め、銀行は地域の商社のような役目を果たしていかなければならない」と指摘した。
KDDIの田中会長は、地域活性化における「産官学金言」の連携のポイントについて、「地域の実情・特徴を共有する」「地域団体、住民や行政が参加できる」「地域事業として成立する」と述べ、IT活用による漁業効率化の例を挙げた。そして「チャレンジし続けることが重要」と強調した。
全広連大会は、全広連加盟の37協会の中から持ち回りで開催地が決まる。秋田での開催は、33年ぶり2回目。来年は富山市で開かれる。
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