映画『ちはやふる』に出て、CMで演じる時の意識が変わった(ゲスト:松岡茉優)【後編】

子役時代は“超不遇”な時代だった

松岡:万引きという言葉を別に置き換えると、勝手に自分の心の中にあるアレをもってかれた、みたいな瞬間を捉えているんだと思います。

権八:深いね。

澤本:監督が是枝さんだからね。是枝さんが普通に万引きする家族のものつくらないでしょ(笑)。

中村:それを聞いて、コンビニで万引きしてるようなビジュアルから、急に『カリオストロの城』の私の心を持っていったというシーンに、イメージが急に変わりました。

澤本:『カリオストロの城』のあれも万引きだもんね(笑)。

権八:万引きというか、まぁ盗むというかね。こうすればこうでしょ、ああでしょみたいな芝居のことを全部捨てた後に残る何かが是枝さんも見たかったのかな。

松岡:でも、それが辛かった、挫折という感じはなくて、むしろあったという感じでした。開けたら白い世界があった、開けてよかったんだここという感じですね。

権八:これはまた見たいですね。

松岡:樹木希林さん、主演がリリー・フランキーさん、安藤サクラさん。

澤本:すごい座組みですね。

松岡:いるだけで眠くなっちゃう感じの。落ち着きすぎて。

中村:落ち着くというのもすごいけどね(笑)。

権八:みなさんとは前から親しくて?

松岡:いえ、初めましてだったんですけど、家族をやっているうちに、2人掛けのソファにみんなで座れるような感じになりました。

権八:これは撮影期間が長かったんですか?

松岡:2カ月ぐらいですかね。

権八:それだけ一緒に日々やっていたら家族になっちゃうのかな。

松岡:なっちゃったと思います。子役の子どもたちが自由にいてくれるので。是枝さんの子役へのお芝居の付け方も有名ですが、それを生で見られたのもよかったですね。子どもたちが本当に生き生きとやっていて、自分も子役出身ですから。

澤本:ご自分が子役の頃はどういうことをされていたんですか?

松岡:私は小学校6年間で決まったお仕事が2本で、超不遇な時代でした。1個目が再現ドラマのちゃんとした版。それと、園子温監督の『愛のむきだし』。

中村:『愛のむきだし』は何役で出てました?

松岡:満島ひかりさんが最後のほうに親戚のお家に行くんですけど、そこの親戚の子どもです。それが小学5年生、10歳の時です。

権八:今ちょうど園監督と映画をご一緒していて。クソ野郎の映画を園さんがエピソード1、稲垣吾郎さんのパートが園監督なんですよ。

松岡:覚えてるかわからないけど、またいつかご一緒したいと思っています。言わなくて大丈夫です(笑)。

中村:園さんもOKを出さなそうな気がしますけどね。

権八:いや、すぐOK(笑)。テンポよく撮っていくからビックリした。逆に是枝監督が子どもたちにする演出って、どういう感じなんですか?

次ページ 「是枝監督の独特な子役演出法って?」へ続く

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