カシオ「PRO TREK Smart」が取り組む、ファンやユーザーの信頼で紡ぐブランディング

すべては広告を超える、リアリティを伝えるために

藤崎:フォロワーが数百人程度の人がメインというのも、最近指摘されている「マイクロインフルエンサー」という存在と符合する点があり、大変興味深いです。

マイクロインフルエンサーに関しては、2017年にNYで開催されたWOMMAサミットで最近の潮流として取り上げられています。
以前はインフルエンサーといえば、ファッションリーダーと呼ばれるタレントやモデルなどの、非常に強い影響力がある人を指していましたが、そうした超有名人は、「あこがれ」にはなりますが、「真似」はできない。かっこいいとは思うけれど、自分はもっと普通の生活をしている、ということです。

このマイクロインフルエンサーの特徴は、日本の「読者モデル」のコンセプトと同様に考えることができます。プロのモデルよりも自分たちに近い、手に届くような存在の人であれば共感もできて参考にもなります。その結果、「読者モデル」の影響力の方が強いという現象が起きているというわけですね。

堀:「PRO TREK Smart WSD-F20」は、アウトドアのさまざまな局面で使って頂ける機能が満載です。その存在をアウトドア好きの人たちに知っていただき、アピールするには広告を超えるリアリティが必要でした。

「アウトドアアンバサダー」は、実際にアウトドアが好きで海山へ行き、アクティブに発信しています。そういう人たちからの発信の方が、企業やプロ冒険家からの発信に比べて、比べ物にならないくらい説得力があるということです。

藤崎:堀さんのご指摘やお考えは、とても時代に合ったものだと思います。マーケティング的にも最先端事例だと言えると思います。

堀:私は企業や製品の定性的な評価を上げていくには、リアルなクチコミが友達を介して広がっていくということがとても重要だと思っています。これはマス広告とは最も違うところです。つまり、ひと昔前はマス広告をたくさん露出させて認知を獲得してきましたが、今はクチコミや一般の方からの信頼が重要です。それがブランドを強くする、つまりブランディングになる時代です。
この辺りは今後もさらに重きを置いてやっていくべきだと考えており、今回の「アウトドアアンバサダー」への取り組みは、大変な手応えを感じています。

藤崎:堀さんは常に新しいマーケティングに取り組み、この分野の可能性をずっと考えてこられただけあって、お言葉の数々に説得力があります。「今までの広告をどうすれば超えることができるのか」という姿勢は本当に素晴らしいと思いました。後半では、実際の内容について教えてください。

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藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)
藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

藤崎実(東京工科大学メディア学部専任講師/アジャイルメディア・ネットワーク エバンジェリスト)

博報堂 宗形チーム、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODO、アジャイルメディア・ネットワークを経て、現職。
変わりゆく広告の最前線を歩み、ファンやアンバサダーに着目した企業のマーケティング活動に従事し、研究職に。
日本広告学会:クリエーティブ委員、産業界評議員、デジタルシフト準備委員会。日本広報学会会員。WOMマーケティング協議会:副理事長、事例共有委員会。東京コピーライターズクラブ会員。カンヌ・クリエイターオブザイヤー他受賞多数。多摩美術大学、日大商学部非常勤講師。

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