日大広報の姿勢を問う!危機管理広報のプロ、4つの記者会見を分析

会見の目的は何だったのか

記者会見とは、開催者が自分たちのメッセージを記者と国民に伝えるために開く。その目的は、記者の要請に応じて開催に至った会見でも同じだ。

話し手は挨拶の後、冒頭スピーチを行い、その後に質疑応答を行う。これは単なるルーティーンではない。会見者にとって必須のパターンなのだ。なぜなら、メッセージをきちっと伝えられるのは冒頭スピーチしかない。質疑応答は、冒頭スピーチの中で明確でない点を、記者が国民に変わって明確にするために質問する時間だ。

しかし、この会見では、実体のない謝罪の後質疑応答に直行した。冒頭スピーチがない記者会見は、目的のない記者会見と同じ。目的がないなら開催すべきではないのではないか。この会見の違和感はそこにあった。

自分たちが伝えたい「メッセージ」が自信の持てるものであるならば、広報が発表したコメントを冒頭スピーチとして読み上げた後、質疑応答に移るべきだった。そうすれば、会見の目的は明確に記者に、そして国民にも伝わったはずだ。これは私の想像にすぎないが、この会見では、監督もコーチも明確な「目的」を持って臨むことができなかったのだろう。おそらく自分達の主張が真実ではないことが分かっていたから。

やはり、この方法は逆効果だった。冒頭スピーチがないので何を言いたいのかはっきりしない。だから記者は質問する。同じ内容の質問でも納得できるまで繰り返し質問するのが記者の仕事だ。

次ページ 「火に油を注いだ司会者」へ続く

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