ブランディングとセリング、両立はどうすれば実現する?
第2部のパネルディスカッションでは、「ブランディングと販売の関係について」をテーマにA.T. Marketing Solution代表 CEO高田 敦史氏とトリンプ・インターナショナル・ジャパン執行役員 オムニチャネル営業本部 オムニチャネル営業本部長 井上 千鶴氏が登壇。モデレーターは加藤希尊氏が務めた。
テーマはBtoCのビジネスにおいて大きなテーマであり、チャレンジでもあるブランドづくりについて。そもそも「ブランド」の定義について二人はどう考えているのだろうか。「ブランドとは会社の経営に貢献する価値があるもの。それだけに金銭的価値に換算できる」とは高田氏の主張。さらに。ブランドを創るマーケティングとセリングは会社の両輪。プロダクト、プライス、プレイスとプロモーションの4Pが見事に融合したときにブランドが構築でき、極端に言えば、商品を置いておけば売れるようになる、つまりはセリングが不要になります」(高田)。
一方、井上氏はブランドには「歴史があること、製品自体の価値以上のベネフィットを提供できること、安全・安心・信頼を与えられること」の3つの要素が必要だと話す。
マーケティングとセールスは対立することも多い。それに対し高田氏は、「対立はするが、ブランディングは中長期的な利益、セリングは短期の利益、両方とも利益に貢献する」と話す。しかし「短期の利益に貢献しているほうが社内での発言力が大きくなることが問題」だという。「発言力が弱くなりがちなマーケティングを前輪にして、セリングを後輪にするべき。短期的な販売をしたいというときに、CMOが拒否権を持っているのが理想」だと話した。
マーケターに必要なのは“半歩前”の生活感覚
顧客接点が多様化している昨今。どのようにマーケターはデジタルと向き合い、ブランドの価値を高めるために活用していけば良いのだろうか。「デジタルをどう活用するか考える前に、まずは顧客がどう活用しているのかを知ることが重要」だと話すのは井上氏。さらに「私はオムニチャネルの領域を担務しているので、オンライン、オフラインで同じ体験を提供するというコンセプトでやっている。売上についても、オムニ売上として考えていこうとしている」と同社の戦略について語った。
最後に高田氏は会場に集まった若いマーケターたちに向け「僕なりのマーケターのあり方は、人よりも1歩ではなく半歩前の生活感覚を持っていく必要があると思う。すごく進んだクリエイターとも話ができるし、田舎のおじさんとも話せるそんなマーケターが理想では」とメッセージを送った。
第2部のモデレーターを務めた加藤希尊氏は「多くの企業でセールスとブランディングの協調した活動の実現は課題になっている。決して明確な正解のある問題ではないが、実務経験豊富な2名のマーケターの率直なディスカッションは、参加された皆さんの戦略策定の実践的なヒントにしていただけるのではないかと思う」とセッションを締めくくった。
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