周年事業こそ、企業のブランド力を高める絶好の機会だ

ブランディングで大切な2つの「約束」

「ブランドって何ですか?」という質問をよく受けますが、その度に私は「ブランド=約束(プロミス)です」と答えるようにしています。そしてすかさず、「約束には2つの重要なポイントがあります」と付け足しています。

そもそも約束である以上は必ず相手(企業であればお客様)が居ることになりますが、その相手が企業に対して期待を抱き続けることがブランディングでは重要になります。企業がいま現在有している能力だけであれば、等身大で確実に履行できるかも知れませんが、いずれ飽きられてしまう。いま現在有してなくても努力すれば獲得できる力を含めて約束すること、すなわち「背伸びした約束であること」が大切です。

例えば、自社で開発中の商品や将来の買収などを見据えて能力が拡大することも見越して、実情よりも少し「盛った」形で約束をすることを意味します。

もう1つの大切なポイントは「有言実行の約束であること」です。昭和初期生まれの九州人である両親からは事あるごとに「九州男児は不言実行ばい」と言われて私は育てられました。あれこれ能書きを述べず、黙ってシレッと実行に移すのが男の美徳だというのです。しかし、親父とお袋からは怒られてしまいそうですが、企業のブランディングで重要なのは「有言実行」です。

トップマネジメントをはじめとした経営層が「20XX年には〇〇を達成する」と世の中に意思や目標を発表します。マスメディアが報じ、株価が動き、就職希望者が反応し、もう後戻りできなくなります。当然ながら従業員にも影響が及びます。いち従業員の視点から考えれば洒落にならないのですが、これが有言実行のもたらす効果であることは間違いありません。

①背伸びした約束であること
②有言実行の約束であること
企業のブランディングを進める上で、この2つの約束の考え方は大切です。周年事業は数年掛けての取り組みになりますから、企業を変革していく機運としてこれらの考え方を練り込むことにチャレンジして頂きたいと思います。

次ページ 「「すべらない記念日」にするために」へ続く

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