ニューヨークを救った主婦!ジェイコブズに学ぶ、「人間中心」のマーケティング

ジェイコブズの「人間」を中心とした都市の視点

ジェイコブズは同じ都市を観察しながら、モーゼスとはまったく異なる意見を持っていました。彼女によれば、都市とは一見混沌に見えていても、無意味なのではなく、人々による現実的な解決と秩序によって成り立っており、またそのおかげで変化や運動を絶え間なく作り出し、それ自体がエネルギーとなっていると主張します。ジェイコブズはモーゼスの作り出した住宅を批判し、それらは確かに「美しく安定」しているが、それは「墓」のように死んでいると指摘しました。

ジェイコブズの視点とは、都市とはモーゼスのような近代主義者が考えているほど、単純な機能の集合体ではない、ということです。都市を機能的に分解したのが、ゾーニングの発想ですが、それによって都市のエネルギー源となるような人々の交わりが失われてしまうのです。実際にモーゼスのような考え方に沿って作られたセントルイスの公共住宅であったブルーイット・アイゴーは広い街路は閑散として人々の交流がなくなり、次第にスラム化し、逆に犯罪の温床になって、最終的には取り壊されることになりました。

次ページ 「計画と現実のギャップはどうして生まれるか」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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