なぜACC賞にデザインのカテゴリーをつくったのか。 「ブランデッド・コミュニケーション」部門 審査委員座談会Part1

どこが評価されたのかを、しっかり公表したい

菅野:というか、ルールやクライテリアの説明ばかりで、全然対談になってませんね。

中村 勇吾さん

中村:だいぶ整ってきたんで、理解してきましたよ。ただその、褒めるという話なんですけど。受賞者はどう褒められるんですか?トロフィーや贈賞式以外に。

菅野:ACC年鑑に載りますね、あとはWebで発表されます。

中村:なんか僕、賞でいつも思うんです。文章をもっと載せようよ、と。なんで評価されたのかというのが、わからないじゃないですか。

菅野:一応、年鑑に講評が載ります。さらに審査の内容がどうだったかという座談会や講演をすることも可能ですし。場合によっては、どこかで見てもらう場をつくるというのもあり得ます。僕ががんばれば、ですが。

中村:そういうのがあるといいな。賞はどうしても個数も決まっているし、多数決でいかにももらいそうな作品がもらうじゃないですか。そうではなくて、受賞はしていなくても誰かがめっちゃ推してた作品とか。そういうのって評価が消え去ってしまうから。

上西:JAGDAとかではあるんですよね、なんか。

菅野:クラフト賞は、名称、賞の個数、内容はこれから設定するんです。審査してみないとわからないなと思って、先に決めませんでした。だからクラフト賞の中に特別賞みたいなものをつくって褒めることもできます。

中村:「仕事としてはイマイチだけどこのデザイナーにはすごいものを感じる」とか、そういう人を推していて多数決で漏れたりすると、僕はしめしめとメモしておいて、連絡して仕事をお願いしたりする(笑)。そういうのあるじゃないですか。そういうすごくいい、絶対受賞しないんだけどすごい、という。そういう褒め感。

菅野:そういう議論が審査でできたらいいな。クラフト賞をうまく利用したいなと思っています。今まで褒められていなかったやつを拾いに行くというか、いい褒め方を発見するとか、そういうことを議論したい。なにしろ1回目なので、しかも自分一人で考えた部分がけっこうあるので、絶対抜けや漏れがあると思うんですよ。やってみてわかったことを、来年にも活かしたいと思うし。

中村:議事録は残すんですか?今自分で発案しておいてなんだけど、後で文章書くのってすごく大変じゃないですか。その場で褒めたことをあとで編集するとか、どう。ポジティブ議事録みたいな。

上西:いいかも、そうしたい。これのどこがよかった、というのを後から知ることができたら、作品の中のどこが特に褒められたのか明確になる。やっぱり、何が褒められて賞を獲っているのかは明確にしたい。

菅野:そのほうが業界には貢献するかもね。

中村:この賞だけ別枠でWebページつくって、例えばその議事録で50個のサイトやプロジェクトが言及されているとしたら、それにひとつひとつ蛍光ペンを引いて、50個のインデックスをバーッとつくる。クリックすると、「おお、菅野さんがめっちゃ褒めてるけど、イムがいらんこと言ってる」とわかったりする。

イム:まじか。

八木:それはドキドキしますね。やっぱりやめません?

一同:(笑)

上西:たしかに、なんか。

菅野:いい人でありたい八木さん。

八木:個人のブランディングという側面もあるじゃないですか。(笑)

中村:やっぱり1年目は、この部門を周知させるにも限界があると思うんですよ。だから評価をどうまとめるか、と。読み物として真摯でおもしろいものであれば、響く人が増えていけばよい。僕は賞の審査はとても好きで、普段聞けなかったようないろんな観点を知ることができて、勉強になる。それってここだけにしておくのがもったいないと思うんです。

菅野:性格がよくて真摯な審査委員が、辛辣な発言をする(笑)。

八木:そういうおもしろさ。

次ページ 「全員美学が違うからこそ、議論することに意味がある」へ続く

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